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遺伝子組換え農作物の試験栽培に関する説明会開かれる

4月23日(土)の農業生物資源研究所において、標記説明会が開かれました。参加者はおよそ100名。今年は、草丈を低くしたイネ、葉を直立にしたイネ、花粉症緩和米の試験栽培と除草剤耐性ダイズと害虫抵抗性トウモロコシの展示栽培が行われます。説明会の概要は以下のとおりです。(同研究所山口研究員のご協力により、この記事を作成しました)


いっぱいになった会場

1.遺伝子組換え農作物の安全性評価と情報提供について

企画調整部遺伝子組換え研究推進室長田部井豊氏より、日本における遺伝子組換え農作物の安全性評価のシステムや評価内容、「第一種使用規定承認組換え作物栽培実験指針」に従った交雑防止措置、さらに遺伝子組換え作物実験に関する情報提供の活動などについて説明がありました。

2.平成16年度隔離圃場試験の結果報告について

「スクロースリン酸合成酵素遺伝子を高発現させた組換えジャガイモ」と「草型を改変した組換えイネ」の栽培結果について、生理機能研究グループ主任研究員石丸健氏と新生物資源創出研究グループ主任研究官古賀保徳氏からそれぞれ報告がありました。

3.平成17年度に予定している第1種使用(野外で栽培すること)の栽培試験について

配布資料は以下のサイトからダウンロードできます。 http://www.nias.affrc.go.jp/gmo/rice/explanation050423.html

1)草型を改変した組換えイネの研究所内の水田における栽培試験について

新生物資源創出研究グループ 新作物素材開発研究チーム主任研究官 古賀保徳 
日本で広く栽培されている「コシヒカリ」は台風などで倒伏しやすく、収穫量、品質、作業性の低下が問題になっている。そこで、草丈を低くし、葉が直立に伸びるように遺伝子を組み換えたイネを栽培することにより、収量、品質、倒れやすさにどのような影響があるかを調べる。田植えは6月上旬、開花が8月、収穫は9月の予定。

2)遺伝子組換えダイズ及びトウモロコシの展示栽培について

企画調整部 遺伝子組換え研究推進室長 田部井豊
「無除草の除草剤耐性ダイズ」、「一般的な雑草防除」、「除草剤耐性ダイズの特性をいかした除草」の3種類の方法で栽培し雑草防除効果を観察する。ただし、これらのダイズは開花前に抜き取る。6月上旬から1ヶ月間隔で3〜4回種まきをして雑草防除効果を調べる。
 害虫抵抗性トウモロコシは6月上旬から9月まで栽培する。アワノメイガを駆除する殺虫剤を散布しないで非組換えトウモロコシを同時に栽培し、害虫抵抗性の効果を比較する。交雑防止措置として開花前に雄花を取り除く。
 ダイズもトウモロコシも種子ができないように措置を行うが、もしもトウモロコシで種子ができた場合には、圃場外にこぼれ落ちないようにし焼却炉で処分する。

3)スギ花粉症予防効果ペプチド含有イネの隔離圃場栽培について

新生物資源創出研究グループ 遺伝子操作研究チーム長 高岩 文雄
スギ花粉症患者は2000万人(平成12年度)といわれ、スギ花粉症の根治的治療法の開発は国家的な急務となっている。一般的な治療法は抗アレルギー剤やステロイドホルモンの使用による対症療法が中心で、これでは根治することはない。唯一の根治的治療法であるスギ花粉エキスの注射による減感作療法(少しずつアレルギーを引き起こす物質に体を馴らしていく方法)は、副作用や毎週通院する煩わしさ、痛みから余り利用されていない。ヒトには食べ物に含まれるたんぱく質に対しては異物として認識しない免疫機構(経口免疫寛容)があるので、口からスギ花粉抗原が入ってきてもアレルギー反応が効率的に抑制されることが期待される。このコメにはヒトのリンパ球によってアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)と認識される特定部位がイネの胚乳の中に蓄積される。これを食べると、経口免疫寛容を誘導し、スギ花粉症が和らげられる。
 5月に播種、9月に収穫し、マウス、ラット、サルを用いた毒性試験、生殖試験、変異原性試験、抗原性試験を行う予定。


4.質疑応答

花粉飛散のモニタリングの方法、遺伝子組換え作物と非組換え作物の収量の違いなど農業生物資源研究所で行う実験に関する疑問から、花粉症緩和米の食品安全性試験ついて、ゴールデンライスの研究の行方など遺伝子組換え作物の研究全般に関する質問まで、地域の住民、消費者団体、学生さんなどを含む参加者からさまざまな疑問が投げかけられました。説明会終了が予定をオーバーしたものの、終了後、多数の参加者が農業生物資源研究所内の隔離圃場の見学会に参加し、参加者の熱心さが伝わってきました。研究所側からは、説明会で情報提供は終わるという意味ではなく、今後も継続的に情報を提供してゆく準備があるという点が強調されました。

5、今後の情報提供について

圃場の見学は随時受け付けています。見学ご希望者は、農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究推進室までご連絡ください。 電話番号 029−838−8367(田部井・山口) E-mail:NIAS-GMO@nias.affrc.go.jp




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