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第6回バイオカフェ(茅場町リリー)開催報告

7月1日(金)茅場町リリーで、バイオカフェが開かれました。スピーカーは(財)バイオインダストリー協会清水由美さんでタイトルは「よみがえる幻の泡盛」でした。発酵食品のお話はお好きな方が多いようで、楽しいひと時でしたが、試飲がなくて残念!というご意見もありました。
特に、バイオリンとチェロを演奏してくださった今村さんと寺井さんが「米に麹を加えてお酒をつくるなら、ホフマンの舟歌にブギウギのリズムを加えて発酵させると・・・・・」という賑やかな面白い演奏をしてくださり、バイオカフェは初めから盛り上がってスタートしました。


大好きな微生物の話で思わず熱がこもる  ホフマンの舟歌を発酵させると。。。。。


清水さんのお話の概要

清水さんのお話の概要
1. よみがえる幻の泡盛
 沖縄の酒造所(サカヤー)は1945年の地上戦で壊滅状態になった。泡盛をつくる黒麹というカビが失われてしまったため、戦後、別の黒麹菌で泡盛が作られてきたが、「お酒の神様」といわれる坂口謹一郎博士が戦前研究用に採取した黒麹菌が保存されていることが判明した。その菌を使って戦前の泡盛が再び作られるようになった。「御酒(ウサキ)」という名前で入手は難しいが、また作られるようになっている。坂口先生の「君知るや名酒あわもり」の論文(1976年)は有名。

2. カルチャーコレクション
微生物は継代培養といって、培養液や寒天培地で育てられ、栄養を食べつくすと、一部の菌を新しい培養液や寒天培地に移して育てながら、継代していくので、とても人手がかかる。現在、必要な微生物を収集、管理しているセンターが国内外に整備されている。私たちが見学場所だと思っている植物園なども、カルチャーコレクションとして植物の保存・管理という役目を果たしていることになる。

3. 泡盛の作り方
タイから14世紀に琉球王朝に伝わった日本最古の蒸留酒であって、タイ米を使ってつくられる。黒麹を蒸したおコメに加えてでんぷんを糖に分解させ、泡盛酵母をそれに加えて発酵させる。蒸留した原酒は泡盛が呼吸できるように荒焼(アラヤチ)といわれる容器で貯蔵・熟成させる。3年以上寝かせたものは古酒(クース)と呼ばれる。

4. 話題の健康食品、もろみ酢
もろみ酢は泡盛から作られる副産物で天然のクエン酸と9種類の必須アミノ酸を豊富に含む。コメ酢の酸味は酢酸であり、アミノ酸もそれほど含まれない。

5. 泡盛という名前の由来はいくつかある
@昔は粟からつくったから
A液体の粘度が増すとあわ立つので、酒屋があわ立ち具合をみて、発酵の程度、アルコール度数を推察したから
B よく発酵し、アルコール度数が高くなると蒸留の過程であわ立つから
C 薩摩焼酎と区別するため
D サンスクリット語「アワムリ」ということばに由来している



「この近くでおいしい泡盛の店はないですか」という質問も出て、そろそろお開き

質疑応答
(→は清水さんの発言)

・ フランスのブドウがウィルスで全滅したときに、フランスから送られたブドウの木をチリから逆輸入したという話があり、これも、黒麹と同じで、失われたと思われていた生物資源がよみがえった例です。

・ 杜氏のやりかたで味が違うそうですね。→同じ黒麹といわれても株によって遺伝子が少しずつ違っている。

・ アルコールは殺菌作用があるが、発酵中に菌が死んでしまうことはないのですか→菌は自分が生きられないほど高い度数まで発酵しない。菌のアルコール発酵能力の上限値まで発酵したのがお酒。一般にビールの醸造には上面発酵と下面発酵があり、上面発酵は液面で発酵し、液面に菌の膜ができるので、酸素が不足し余り度数が上がらず、下面発酵しているほうが酸素も豊富で栄養分とよく接するので高い度数になる。日本酒は、世界のお酒と比較しても、並行複発酵によりアルコール約20%と最も高くなる。ワイン酵母は12度、紹興酒は16−7度。

・ 御酒(ウサキ)はどうして手に入りにくいのですか→黒麹を使うと、人手が掛かるので工場生産ができないらしい。


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