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「食の安全性とリスクアナリシスを学ぶ」(於札幌)傍聴レポート
 特定非営利活動法人北海道バイオ産業振興協会主催によるフォーラムが10月23日、札幌アスペンホテルにおいて開催されました。生産者の方々がパネリストとして参加する、という北海道ならではの企画を傍聴しましたので、ご報告します。

基調講演: 「食品の安全性とリスクアナリシス」
(独)食品総合研究所 国際食品研究官 山田友紀子氏

パネルディスカッション
コーディネータ:
北海道大学大学院農学研究科 教授 冨田房男氏
パネリスト:
鎌田 博氏(筑波大学生物科学系 教授)
角田誠二氏(有限会社角田農園 代表取締役)
平野孝吉氏(幌美野菜生産組合長・岩見沢農協監事)
倉持泰子氏(帯広市民生協常務理事)
佐藤節子氏(北海道文教大学短期大学部食物栄養学科助教授・栄養士)
村田吉平氏(北海道農政部農業改良課主幹)
山田友紀子氏(独立行政法人食品総合研究所 国際食品研究官)
全体司会:
浅野行蔵氏(北海道大学大学院農学研究科 助教授)

基調講演 「食品と安全性とリスクアナリシス」概要   山田友紀子さん

山田氏の講演
山田氏の講演
健康にもっとも影響しているのは食事習慣、喫煙、生活習慣、教育(個人の責任)であって、食品そのものが直接、生命に関わるような影響を及ぼしている例はそんなにありません。しかし、食品事故の報道をきっかけに、食事の量より質へと関心が高まり、食品の安全性が注目されています。

欧米では、フードチェーン(生産から消費まで)の全部をカバーできないと食品の安全性は保証できないこと、それには縦割りでない組織的統合的な対応が必要であること、具体的には「リスクアナリシス」の実施が欠かせないこと、そして最終目的は消費者保護であることが共通した考え方となっています。

 そもそも「絶対に安全」な食糧はありえないことを前提にして、食品の安全性を合理的に考えていく方法がリスクアナリシスであり、WTO(世界貿易機関)、CODEX(国際食品規格委員会)ではこの方法がすでに取り入れられています。

リスクアナリシスは次の3つから構成されています。

リスクアセスメント
(科学的データに基づいたリスクの性質と大きさを調べる)
リスクマネージメント
(そのリスクをどのように扱ったらよいか考える)
リスクコミュニケーション
(リスクに関する情報を消費者のニーズにあった形にしてすべて公開し、情報を共有し、相手の立場を理解しながらみんなで対処する)

参考:農林水産省 リスク分析
http://www.maff.go.jp/syokuno_qa/cont/06.pdf 


パネルディスカッション

パネリストの皆さん
パネリストの皆さん

(1)パネリストの方々の自己紹介

角田誠二さん:除草剤耐性を持つ遺伝子組換えダイズを栽培してみて、こういう機能を他の農作物にも持たせれば、北海道の農業も変わるだろうというのが自分たちや見学に来た農家の人々の感想です。実際には食物や飼料に遺伝子組換え農作物は含まれているのが現実で、消費者は農業の実態を知らずに情報に踊らされている感じを受けます。

鎌田博さん:実質的同等性という考え方は食品の安全性は今まで食べてきたものと比べてみましょう、という方法です。例えば、科学的データ、長く食べてきた歴史を見て,遺伝子組換え食品を今まで食べてきたものと比較します。また、遺伝子組換えは自然界でも起こっている現象で、特別な現象ではありません。

倉持泰子さん:消費者の意向をまとめている団体として、合成洗剤でなく石鹸がほしい、添加物が嫌なので無添加の製品がほしい、という声に対して「いき値(安全上、問題がないと考えられるレベルを示す値)」の勉強をして日生協の基準を設け、色分け表示を通じて消費者とコミュニケーションをしています。国や自治体に任せるのでなく、自分達で食の安全を伝えたいと努力しています。

佐藤節子さん:学校や病院では管理栄養士はひとりひとりの責任が重いので、フードチェーンの末端で働いている栄養士を教える者として責任を感じています。
自宅で無農薬の家庭菜園をやってみた経験から、マスタードグリーン、ズッキーニなど、栄養価が高く、栽培しやすい方だったので、このような外来農作物は北海道で作ってもいいのではないか、と考えています。

平野孝吉さん:レタスの栽培をしています。平成5年から農林水産省のガイドラインにしたがって減農薬を実行していますが、時には虫害も出るので、毎回種類を変えて農薬を散布しています。農薬を使っている本人は消費者よりずっと農薬に暴露されているので、農業者はもっと農薬を減らしたいと思っていることを消費者にも理解してもらいたいと思います。

村田吉平さん:あずきの研究をしています。研究の分野では遺伝子組換え技術を含むバイオテクノロジーを利用しており、必要な技術であると考えています。

会場から次のような質問が出て、それぞれにパネリストが回答したり、その場で議論に発展したりしました。

1.リスクアナリシスに関する質問

リスクアナリシスにかかる費用は誰が払うのですか。
リスクアナリシスの話が難しすぎたと思います。特に定義がわかりにくいのですが。
10年前からリスクアナリシスを日本でも取り入れていたら、BSEの対応は違っていたと思いますか。
科学的データとはどんなものをさしていうのですか。

2.農薬に関する質問
ラウンドアップ除草剤は大豆用の除草剤として北海道では登録されていないと思いますが、効果があるからといって使っていいのですか。
外国ですでに使われている農薬も、北海道では確認しないといけないというのは、どういう意味でしょうか。

3.そのほかの質問
ヒトの体内に複数の添加物が入ったときの、健康への影響はどうなるのですか。
遺伝子組換え技術を農業にとりいれることで、北海道において離農する農家は減るでしょうか。

私たちはリスクアナリシスという考え方に慣れていませんが、この方法は多くの専門家たちが知恵を絞って考えられた合理的なものであるという印象を受けました。現在準備がすすめられている食品安全委員会でもこの考え方がとりいれられています。

参考:くらしとバイオ トピックス 
http://www.life-bio.or.jp/topics/topics4.html

農林水産省 食品安全委員会
http://www.maff.go.jp/syokuno_qa/cont/07.pdf

途中、議論の内容が自分の参加の意図にあっていなかったといって退席してしまう人があり、緊張した場面もありました。けれども、いろいろな人たちが集まって真剣にいろいろな意見をかわすことは大切なことなので、こういう場をもっと作っていきたいと、主催者は締めくくりました。

私たちのくらしは土から遠く離れてしまっていますが、自分たちの食べる食物について、日本の農業についてひとりひとりが考えなくてはならない時期が来ているのではないでしょうか。



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