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第18回談話会「ミャンマーの麻薬地帯で育つ天童の果物」レポート

12月16日(金)、標記の談話会が行われました。スピーカーはお茶の水女子大学教授佐竹元吉さん。佐竹先生は「薬用植物を知ろうネットワーク」の代表としても活躍されており、私たちの筑波薬用植物見学会などで、くらしとバイオ発足当初から、お世話になっている先生です。


楽しげにミャンマーを語る佐竹先生 参加者そろって!

お話の概要

背景
国連は世界の麻薬撲滅運動をしており、イギリスはアフガニスタン、米国はネパール、日本はミャンマーのゴールデントライアングルをなくすことを目指している。世界のゴールデントライアングルは3箇所。そのひとつがミャンマーの麻薬地帯。三重大学の梅林先生ほか、いろいろなグループや個人が活動しているが、2000年、ケシ栽培撲滅宣言をしながら、効果はあがっていない。

関わりのはじまり
厚生労働省から、定年間際にこの仕事を与えられ、実際には私費を投じて開始。タイの麻薬を手本に開始。ミャンマーで5年植林プロジェクトに関わった方とふたりで始めた。ミャンマー林業大臣と交渉し、内閣の許可で得てミャンマーに入れるようになる。相手は中国との国境近く標高1800〜2000mの山岳地帯に住む中国から来た人たち。

プロジェクトの目的
ケシ栽培をやめても少数民族が生計をたてられるようにすること!
目的は、1)次々に山を焼いて移動するケシ栽培をやめて定住するようにする、2)ミャンマーの豊かな薬用植物資源を保全する、3)ミャンマーの健康ブームを利用し、科学的データの裏づけをつくる。
ミャンマー政府は2014年にケシ栽培をしていたら、政府軍が攻撃すると宣言。
チン州の5つの村、カチン、シャン州の村が対象。

実施したこと
・薬用植物の栽培指針のミャンマー語版作成。
・日本の市場で使われそうな30種類の薬用植物(各社にヒヤリング)を調査。
・日本全国の薬用植物栽培試験場で更新するときに処分する、農場経営に向きそうな苗を集め、およそ100種類持って行った。
・ミャンマーやインドで使われている薬用植物の調査。
・マラリア、リューシュマニア(ペルー政府の依頼で薬を探していた)などのミャンマーの病気の治療や予防のための研究。
・指導者養成(カチン州のケシ栽培地に外国人は入れないので、境界地域に研修場建設)。
方針は資金援助でなく、モノを通じて自活できるような手伝いをする!
プロジェクトの基地を中国へのルート途上につくり、情報やモノをルートに乗せやすくした。

具体的に実施したこと
お茶の水女子大4年生も同行。軍人や諜報局がついてくる(彼らは銃を持っている)ようなところだが、地元の人たちは花輪を作って歓迎してくれた。
林業省の人たちが斜面に畑をつくり、ケシの耕作者を指導しながらチョウセンニンジン、果物、ヒノキ、など多様な植物を栽培。
ユニホームを作って指導者のグループに託す。
薬用になる野生のらん(セッコク、重楼ジュウロウ)を日本のメルクローン技術で増やして、やしの皮に植え、それを木の幹にはりつけて育てる。
日本から持ちこんだ植物:オケラ、ガジュツ、ウイキョウ、ベニバナ、インドジャボク、キク、(トリカブトはよく育つが、水牛が食べて死んだのでやめた)、オタネニンジン、センキュウ、クチナシ、シャクヤク、ニッケイ、ナンテン、
日本向けでは、ベニバナに期待。食品添加物として日本国内需要の1割にあたる40tが目標。
セッコク、ジュウロウ、オタネニンジンがミャンマー(強壮作用)がよい輸出品になりそう。
天童のぶどう、みかん、ももの苗を植えて、挿し木で苗をふやす。ミャンマーの林業省の人が6ヶ月研修で、2回天童に来て、果樹栽培を覚えた。
天童へのお礼として薬用植物を知ろうネットワークメンバーで講演会と観察会を開催
NPO法人 ミャンマーサブスティテューショナリーメディシナルプラントプロジェクト(MSMP)を設立し、継続的な活動をはかる。

国連の麻薬委員会
ケシ撲滅プロジェクトから麻薬撲滅プロジェクトに拡大。
現在はMDMAエクスタシーという薬が流行。原料はニッケイ、クスノキからとれるサフロールと呼ばれる物で簡単な化学反応で作れる。ミャンマーで栽培し、中国で抽出、オランダで薬にして、タイの麻薬ルートにのって日本にもやってくる。


質疑応答

(○は参加者、→はスピーカー)

○2014年まで関わられますか→本プロジェクトの前半6年(68歳まで)に関わりたい。
○実際に日本で売れるか→日本漢方協会が買ってくれるという物を栽培。すぐ換金できる物は中国向け。みかんや桃は地元向け。日本向けは換金に時間がかかる。麻薬栽培以外の人たちも果樹栽培を希望している。麻薬シンジケートのボスは豊かだが、少数民族は安く売っており、果物でも日々の生計を立てられるようだ。
○果物は実っているのか→生産まではいっていないが、3〜5年で実がなるように芽を剪定した桃やみかんを持ち込んだ。気温差がありワインにいいぶどうも期待できそう。
○土地はだれのもの→17の少数民族の土地が宣言通りにある。→女性はよく働く。男性にはお酒を飲んで働かない人もいる。計画的生産の考え方がなく、学校があってもこどもは行かない。村長が貧しくても麻薬撲滅宣言をしている村は教育熱心。
○コミュニケーションは?→ミャンマー語のできる植林ボランティアの人が話せる。カチン語は山間民族のことば。漢字は通じる。中国語も通じる。学生はどんどんミャンマー語を使うようになる。ミャンマーは100年の統治でイギリス英語。
○麻薬撲滅実現の確認方法は?→2014年、航空写真でケシの花の有無を確認。
○最終目的は技術移転か、麻薬撲滅か→麻薬撲滅。
○人材育成は→ミャンマーの林業の職員が天童で修行して覚えて帰って指導している。
統制のとれた民族はいい。まだ争っている民族に、植物プロジェクトは進められない。
○植物の技術より社会や政治の問題ですね→麻薬撲滅に向け、ボスとの交流中。キーになる人に果樹栽培を教えると効果大。ボスの娘夫婦を招待したりしている。
○インドネシア人に仕事を教えても互いに教えあわないようだが→教えながら、キーになる人をみつけて教育
○カチンは団結が強い。
○トイレの廃棄物を、自転車を15分こいで処理しているそうだが→そこにオガクズをいれて堆肥にして畑にかえす。バイオトイレの研究者もメンバーの中にいる。
○欧州の寒い地域では排泄物を熱風で乾燥→15分自転車をこぐと大腸菌数はぐっと減る。ミャンマーの水はきれいだから、バイオトイレが山の上に広がれば、下まで水はきれいになる。ミャンマーで大学生に穴を掘らせ、トイレ作りから指導している日本の先生もいる。
○水道は江戸時代の日本より後れている状態→電気はないが、自動車はある。ゲートでは自家発電をしている。貧富の差が明確。
○トイレの設備は遅れている→電気がつくのがいいのかわからないが、石油ランプは使用している。
○お金は必要なのか→ケシの栽培の収入の大部分は搾取されるので、果物で生計は立つ。ボスが武器を放棄し、武器買い入れ資金が不要になればいい。
○現地の人は麻薬を使わないのか→水タバコのようなもので麻薬をすっている人もいる。
○ODAは利用しないのか→今回は科学研究費を利用。ODAは事務系がふたりくらいいないと書類作りが大変で使いにくい。
○ミャンマーの人たちはヤンゴンに移動しているのか→軍は移動した。軍人が中心に動いている。移動の目的はよくわからない。スーチンさんの父親はとても尊敬されていたが彼女はイギリス人と結婚し、国内では余り支持されていないようだ。だから、軍が強く出られる。日本はイギリスの100年の統治から開放したので親日的。
○ミャンマーの人々は→明王朝からミャンマーに逃げてきた人、蒋介石が台湾に逃れるときにミャンマーに逃れた人、中国共産党系から来た人の3つの流れの中国人がいる。
○中国に麻薬を送っているのか→中国とマンダレーは関係が強く、マンダレーに都を移す。中国はミャンマー経由でインド洋に荷物が出せるようになる。
○ミャンマーの現地の出荷価格と天童の果物の価格と比べてどうか→農家に入るときは果物売り上げはケシの10倍。ケシの買取人にとっては、ケシの売り上げは果物の100倍以上。
○麻薬撲滅運動は、現地にとっては雇用創出、トイレなど衛生の向上などで広く役立っていると思う。現地が薬用植物栽培から得た恩恵は?→世界的な傾向としてWHOの統計では8割が薬用植物の恩恵を受けている。ミャンマーには伝統薬を扱う省があり、マンダレーに伝統薬大学を持ち伝統薬の専門家を養成。薬用植物の本を作り広く利用できるようにしたい。
○日本のランはすべてクローンか→野生のミャンマーのランを日本のクローン技術でふやせたらいいと思う。160種類くらいの乱獲されてしまったランを増やそうとしている。
○貧しくてもきれいに生きたいという姿に感動。佐竹先生の活動に敬意を表したい→好きで趣味でやっているからうまくいっていると思う。好きな人が集まっているので続いている。
○JICAの活動の影響は→ミャンマーは鎖国状態。観光地以外は欧米人は特別な許可なしには入れない。文化はいろいろな人が持ち込む。女性は外にでるときに民族衣装を着るように指導されていて、民族の文化を守ろうとしている。


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