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組換え作物に関するミニシンポジウム開催報告

NPO法人北海道バイオ産業振興協会(HOBIA)、(財)バイオインダストリー協会(JBA)の主催で「組換え作物の現状と将来:日本、アジア、世界」をテーマに2007年5月21日(月)9:30-12:00、東京大学農学部2号館 第3講義室で開催されました。
初めに座長の冨田房男氏は、「フィリピンは組換えコーンを商業栽培し、又、国をあげてゴールデンライスの開発を進めており数年のうちに実用化される予定。日本のGM作物野外栽培の規制は厳しいが日本の食糧自給率が40%でバイオマスエネルギーの利用も開始され、農業及び生物産業においては組換え技術を使わざるを得ないと思う。」と述べました。
続いて、3つの講演がありました。主な内容は次の通りです。

山川先生のお話 冨田先生のお話 Aldemita先生のお話


1.「世界における組換え作物の現状と未来」

講師:山川 隆氏(東京大学大学院農業生物科学研究科 農学国際専攻)

除草剤抵抗性及び害虫抵抗性遺伝子組換え作物については、世界の栽培状況で紹介されました。
参考サイト:http://www.life-bio.or.jp/topics/topics255.html

同氏が行った遺伝子組換え作物に関する世界状況の調査結果を基に以下のお話がありました。
ハワイ:遺伝子組換えウイルスリングスポット抵抗性パパイアの生産は、2004年、パパイア全体の55%であった。
インド:遺伝子組換えワタの生産が増加している。
フランス:遺伝子組換えブドウやアフリカ(ナイジェリアなど)で生産するための政策的な遺伝子組換え作物(乾燥耐性)の栽培研究が行われている。
中国:生産は組換えワタのみであるが、実用化を目指した研究が目覚しい勢いで進んでいる。GMOの規制は遅れており、実生産に当たっては問題が出てくる可能性がある。
タイ:バイオエタノール用のサトウキビの栽培が検討されている。
日本:ダイズ、ジャガイモ、ナタネ、トウモロコシ、ワタ、テンサイ、アルファルファの7作物、77品種が認可されているが実際には生産されてない。

遺伝子組換え食品の理解促進活動は、@正しい情報提供 Aリスク概念の普及 B分別流通管理などの技術的な安全確保 C第2世代の組換え作物の実用化、経験をもとにした不安の解消があげられる(第2世代組換え作物;カロチノイド含有米、花粉症緩和米、経口ワクチン、ビタミンE強化ナタネ、リジン強化トウモロコシ(最初は飼料用、後にヒト用))。
今後の遺伝子組換え技術で期待されるのは、@多重ストレス耐性 A環境修復 B工業化原料の生産。



2.「わが国における組換え作物栽培の規制 特に北海道の問題について」

講師:冨田房男氏(放送大学北海道学習センター)

わが国の組換え農作物の安全性評価、遺伝子組換え体の安全性評価には11の書類の提出義務が課せられている。組換え作物は、コストや環境などで農業者のみならず消費者メリットもある。
「北海道遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例(平成17年3月31日)北海道条例第10号」制定後の状況は次の通り。

  • 組換え作物条例で組換え作物の研究、生産する例に、申請手数料がある。第4条(開放系一般栽培)の許可に係る手数料が32万4760円、第10条第1項(第4条の変更)に係る手数料に21万980円が必要。条例制定後、組換え作物の栽培はゼロである。
  • 組換え作物と非組換え作物との栽培距離が、北海道では気温が低いので交雑率が上がるという理由で、国の2倍に広げられた。
  • 北海道主催のコンセンサス会議が4回(5日間)行われたが、会議の参加者は、専門家でない(分野が非特定である)ことが必須条件となっており、北海道主導の勉強会であり、北海道庁の努力の広報としては役に立っているが、肝心の組換え作物や条例の適否について議論できる状況になっていない。
  • 北海道立農業試験場には、組換え作物を植えていない。平成18年度の交雑試験は条例見直しのため実施することとなったが、組換え作物を使わないで行った。組換え作物と非組換え作物との交雑試験を行うべきところが、非組換え作物間の試験を実施した。
  • イネ及びダイズの交雑の試験において、試験に使う種子の純度を測定せず実施した。
  • 他府県への組換え作物規制に影響を及ぼした。



3.「フィリピンにおけるバイオテクノロジー:Btコーンとゴールデンライス」

講師:Dr. Rhodora R.Aldemita(Philippine Rice Reseach Institute)

フィリピンにおけるGMO(遺伝子組換え作物)の取り組みは、フィリピンのバイオセイフティーに関する国家員会(NCBP;National Committee on Biosafty of the Philippines)が1992年にGMOの規制を決めた以後、1998年にGMOと有害性の強い外来種の譲渡に関するガイドラインの制定、2006年3月にNCBPの増員と機能が増強される中、国民への情報キャンペーンが実施されている。

フィリピンにおけるバイオテックコーン他の栽培について
フィリピンでのコーンの消費は年間500-600万トン、栽培面積は250万ヘクタール(ha)である。2006年では、140万トンのコーンとその加工品が輸入されている。1代雑種やBtコーン(害虫抵抗性遺伝子組換コーン)で増収し、輸入は少なくなるであろう。伝統的なコーンの栽培は176万ha(69.2%)、1代雑種は65万ha(全栽培面積の27%)、Btコーン9.5万ha(全栽培面積の3.8%)。Btコーンは2003年以降、栽培されている。
今後、組換え技術を使ったBtワタ、リングスポットウイルス耐性パパイア、ゴールデンライス(GR)の栽培される予定である。

ゴールデンライス(GR)の開発について
GRとは、ビタミンA不足を補うために、ビタミンA前駆体であるβ-カロチンを含む黄色っぽい色をしたコメで、この名前がついた。スイス連邦工科大学(ETH)のインゴ ポトリカス博士とピーター バイエル博士によって、遺伝子組換え技術を用いて作出された。最初に開発された遺伝子組換えゴールデンライス(GR1)は、コメ1g当たりβカロチン1.2-1.8μg含有していたが、GR2では36.7μgとほぼ20倍になっている。GR2の72gを食べれば1-3歳児のビタミンA所要量の半分がまかなえる。
GRの開発研究を進めている主なポイントは、以下の通りである。(1)GR1をゴールデンライスネットワークに参加している国のイネに導入すること、(2)GR2が使えるようにすること、(3)ルイジアナ州で栽培試験によりコメの収穫日を変えたときに、コメに含まれるβ-カロチン含量に差があるか否か、(4)ビタミンAを含むそれぞれの国のGRが利用できるとなれば収穫、保管、加工後の維持研究を早急に実施する。(5)実際にヒトがGRを食べる研究が今年、5人の健康なアメリカ人によって行われ、中国ではより多くの人を対象に行う。(6)ビタミンAライスは2011年に本格栽培の予定。
フィリピンではGRの市場化に向けての次のような検討がなされている。(1)地方の多くでGRの試作を行う、(2)それぞれのGRを使ってβ-カロチンの安定性試験を行う、(3)ビタミンA失調者での体内動態試験を行う、(4)ビタミンA失調者へのGRの認識を高め、その恩恵のあることを知ってもらう、(5)地方のGRを国家種子工業会議に登録することを支援する。

参考
1.ビタミンA不足の現況
子供のビタミンAの必要量は300μg/日である。発展途上国のほとんどの子供はこの所要量の半分以下しか摂っていない。毎年250万人が死に、50万人が盲目となっている。ビタミンA不足の人は全世界で4億人いる。
フィリピンでは生後6ヶ月から5歳までの子供の40%、妊婦と授乳者の20%がビタミンA不足にある。
コメは、アジア、アフリカでの80%が主食にしており、主食のコメでビタミンAが摂取でき、まかなえるのは意味がある。

2.ゴールデンライス人道委員会(Golden Rice Humanitarian Board; http://www.goldenrice.org)やシンジェンタ社がテクノロジーアドバイザーをするゴールデンライスネットワーク(フィリピン、ベトナム、ドイツ、インド、バングラディッシュ、中国、インドネシアの大学や研究機関もしくは当局)がGRの開発に取り組んでいる。




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