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「遺伝子組換え作物」をみんなで考える環境づくり事業のレポート

2007年7月23日(月)、滋賀県農政水産部農政課より、標記レポートが発表されました。
http://www.pref.shiga.jp/g/nosei/idenshikumikae/idenshi_minnade.html
これは2005-2006年度に行われた、文字通り「遺伝子組換え作物」を県民みんなで考えるために行われた実験教室、セミナーなどの報告です。


全国の規制の状況

現在、全国では9つの自治体が遺伝子組換え作物の野外栽培に対して、条例やガイドラインによって規制を行っています(そのうち北海道と新潟県は条例として規制)。それは、「遺伝子組換え技術は今後の世界の人口増加、食料問題を考える上で、日本だけでなく世界の国々にとって重要な技術であるが、今は日本の市民にとって食品としての不安、交雑への懸念などがあることから規制を行う」というものです。そして、同時にこの技術の有用性が段々に理解され、市民が適切な選択をすることができるように、情報提供などのコミュニケーション活動を行うことが大切であるとも定められています。
しかし、実際には情勢や指針の策定後、市民を対象とした「遺伝子組換え作物」をみんなで考える環境を作ることは、なかなか難しいことのようです。このような状況にあって滋賀県では、農業技術振興センターが中心になり数名の担当職員が積極的に活動し、アンケート調査を行い、レポートを作りました。このような事例は全国でも珍しい事例だといえるでしょう。


滋賀県の取り組み

滋賀県では、2004年8月「遺伝子組換え作物の栽培に関する滋賀県指針」が策定されたと同時に準備を始め、2005-2006年度の2年間に滋賀県の農業技術振興センター先端技術開発部の数名の研究推進担当者らが28回の講座や研修会を行いました。参加者は一般市民、中学生、高校生、大学生、消費者リーダー、栄養士、食に関連した仕事に従事している者などで、その数は1,448名にのぼりました。
遺伝子組換え作物情報提供活動  実施回数参加者数(名)
開放デー2 400
研修会、勉強会など14 780
実験教室、体験学習11 245
そのほか1 8
合計28 1448
2005-2006年度に行われた活動の実施回数と参加者数



講演会前後、3ヶ月後のアンケート調査の実施

2006年度に4回行った講演会のうち、以下の3回の研修会などの参加者202名(男性24%、女性72%、未回答14%)に対して、講演会の前後と3ヶ月後、アンケートを行いました。
参加者の年齢の割合は次の通りでした。



講演会前、参加者のうち、遺伝子組換え作物や食品については「知らない」、「余り知らない」と回答した人が61%でした。
そのような状況で講演会前後の結果を比較すると、遺伝子組換え作物の環境影響に対して「問題はない」、「あまり問題はない」と回答した人の合計は23%から55%に、遺伝子組換え食品の安全性に「問題はない」、「ほぼ問題はない」と回答した人の合計は19%から51%に増えていました。
3ヶ月後の調査でも、全体のおよそ半分の人が、環境影響と食品としての安全性に対して「問題はない」「あまり問題はない」と回答しました。



遺伝子組換え食品を食べることについて、「不安を感じる」「ある程度不安を感じる」と回答した人が講演会前は8割近くありましたが、講演会の後は半分弱になりました。この事業のタイトルどおり、みんな考える環境つくりの大切さが浮き彫りになったのではないでしょうか。
県に対しては、
・安全性に関する国の情報を積極的に提供すべき126名
・国内外の輸入や消費の情報を積極的に提供すべき92名
・遺伝子組換え農作物の安全性確保に関する研究を進めるべき 89名
・研究情報を積極的に提供すべき76名
・講演会や研修会の機会をもっと作るべき 52名

と県民が情報を求めていることがわかりました。
また参加者のうち53%の人たちが、講演で得た情報を周りの人たちに伝え、遺伝子組換え食品について話し合っていたことがわかり、このような事業の積み重ねが、みんなで考える環境作りに有効であると報告書では結論づけられています。

このような事業を実施する立場の方達は、大人数のセミナーなどを数回行うのが効率的だと考えがちです。しかし、私たち、くらしとバイプラザ21もバイオカフェなど少人数の活動を継続しており、これらの経験から考えると、食の問題にように個人が健康面、感情面などでそれぞれ立場を異にすることの多い分野では、このような地道な活動こそが有効なコミュニケーションを生むのではないかと考えます。
本ニュース作成にあたり、滋賀県農政水産部農政課にご協力いただきましたことを感謝申し上げます。



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