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ワークショップ「野菜からのDNA粗抽出実験に何を学ぶのか」を行いました

 2012年12月2日、日本サイエンスコミュニケーション協会(JASC)の第1回年会が開かれました。発足時より関わってきたNPO法人くらしとバイオプラザ21は、年会企画としてワークショップ「野菜からのDNA粗抽出実験に何を学ぶのか」を開きました。本ワークショップには、科学館関係者、天文や数学を専門とする方、教員、サイエンスコミュニケーター、実験教室を行う市民グループなどが参加し、熱心に身近な食材からDNAを粗抽出する実験や話し合いをしました。

実験

初めに、いろいろな食材からDNAを粗抽出できる「スーパー抽出液」(くらしとバイオプラザ21 初代代表 太田隆久先生が考案)を用意し、ブロッコリー、バナナ、タマネギ、鶏ササミからDNAの粗抽出を行いました。4種類の食材はすり鉢ですりつぶしたり、フォークでつぶしたり、異なる方法で食材を壊しました。スーパー抽出液を加えて、だしパックでこしました。静かにエタノールを加えると、もやもやとDNAが煙のように見えてきました。
参考サイト https://www.life-bio.or.jp/school/school1.html


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実験道具 「これがDNA」
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会場風景1 会場風景2
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会場風景3 会場風景4

お話

佐藤由紀夫先生(都立新宿高等学校)から、DNAの働き、実験の原理について、わかりやすいお話をいただきました。高校生はどのようにDNAの粗抽出を行っているか、どんなところに注意しているかもうかがいました。


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佐藤由紀夫先生 講義に聞き入る

話し合い

DNAの粗抽出実験は特別な実験道具を使わずに出来るという利点があります。しかし、電子顕微鏡でしか見られないような小さいDNAが目視できるとか、実際にはタンパク質や糖などと絡み合っているのにDNAだけが見えたなどの誤解を生みやすいと、問題点を指摘する理科教員も少なくありません。参加者はこのような実験を行うことにどんな意味があるのか、グループごとに話し合い、意見を発表しました。生物学的に精正確な実験ではないかもしれないけれど、分子生物学の入り口、きっかけ作りとしては有効な実験だという意見が多く聞かれました。

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「出てきた、出てきた」 「写真におさめて」

まとめ

4人一組のグループで、4種類の食材を別々の方法で破砕し、同じ抽出液とエタノールを使って粗抽出を行いました。全部で4つのグループで実験を行いましたが、それぞれのグループ内で4種類の食材を用いたことで、同じ物質(DNA)が取り出せていると感じた人が多くいたようでした。
実際に手を動かして実験した人のうち、生物学が得意または専門の人は約半分でした。くらしとバイオプラザ21では7年間に、およそ700人の親子と、この実験教室を行ってきましたが、異なる背景を持つ大人と実験を楽しむことができ、とても嬉しい経験でした。
本実験教室開催にあたり、日本サイエンスコミュニケーション協会のスタッフの皆様、大藤道衛さん、笹川由紀さん、佐藤成美さん、佐藤由紀夫さん、田澤ひろ美さん、中内彩香さんにご協力いただいたことを感謝申し上げます。