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「メディアの方に知っていただきたいこと」3部作完成
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三部作の表紙

 筑波大学形質転換植物デザイン研究拠点との共同研究として、2010年より作成してきた3部作冊子が完成しました。

2011年度 ○「メディアの方に知っていただきたいこと~食品添加物」

        参考ページ くらしとバイオニュース バックナンバー502

2012年度 ○「知っておきたいこと〜遺伝子組換え作物・食品」(改訂版)


        参考ページ くらしとバイオニュース バックナンバー461

      ○「メディアの方に知っていただきたいこと〜農薬」
 


作成の経緯

 3部作の作成は、毎日新聞 小島正美さんの「メディアが記事を書くときに整理された情報があるといい」というご提案がきっかけでした。また、私たちも「無添加・無農薬・遺伝子組換え不使用」という表示が、安全性審査を経ている食品添加物、農薬、遺伝子組換え作物・食品にはリスクがあって避けるべきものと誤解を大きくするのではないかと懸念していました。一方、食品安全委員会が毎年、食のリスクについて以下に示すような食品安全モニターを対象としてアンケートを行っていますが、それぞれにリスクを感じる人は減りつつあります。、遺伝子組換え作物・食品に対して不安を感じる人は50%以下になり、それが4年続いています。

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食品安全モニターアンケート調査(2011年 食品安全委員会実施)

 そこで、筑波大学形質転換植物デザイン研究拠点の共同研究として、遺伝子組換え作物・食品から始めて3部作を作ることになりました。


主な内容

 遺伝子組換え作物・食品、食品添加物、農薬は、どのような機能や役割を持ち、どのように安全性が確認され、どのくらい利用されているかを調べました。それぞれ、冊子の初めの3ページを読んでいただくと、大体のことがわかるようにして、以下に示すような10項目ずつにまとめました。
 
遺伝子組換え作物・食品
○ 食品編
1.栽培される理由
2.企業の種子支配はあり得るのか
3.遺伝子組換えは、自然界にも起こっている
4.医薬品では既に使われている遺伝子組換え技術
5.遺伝子組換え食品の安全性は食品衛生法に従って審査されている
6.遺伝子組換え食品の表示は、最終製品で組み換えたDNAやそれによってできたタンパク質が検出されるときに行う
○ 環境編
7.遺伝子組換え作物は生物多様性を失わせない
8.従来の品種改良と遺伝子組換え技術による品種改良の違い
9.除草剤耐性を持つ雑草は生まれるのか
10.生態系への影響は評価されている
 
 
食品添加物
○ 安全性
1.食品添加物の安全性は科学的に評価されている
2.食品添加物は基準に従って製造され、使用されている
○ 役割
3.食品添加物がないと食中毒のリスクが高まる
4.食品添加物がないと経済的損失が生じる
5.食品添加物なしにはつくれない食品がある
6.食文化の豊かさを支える
○ よくいわれる誤解など
7.いわゆる天然物添加物は、化学合成された添加物よりもリスクが高い
8.「無添加」、「添加物不使用」は安全性と無関係
9.「健康被害をおこす」という報道に科学的根拠はない
10.食品添加物には複数の働きがあり、用途によって表示も異なる
 
 
農薬
○ 役割編
1 農薬は、農作物を害虫、病気、雑草など有害生物から守るために使われる
2 農薬がないと満足につくれない作物がある
○ 4つの安全性
3 ヒトに対する安全性は、残留基準で守られる  
4 環境への影響が生じないよう、農薬の使用基準が定められている 
5 正しく使えば、農薬を使用する人の安全性は確保される  
6 作物に対する安全性が評価される
○ 正しい使い方
7 全ての農薬はポジティブリストで管理される
8 食品に残留した農薬が原因でがんにはならない
9 ポストハーベストも残留基準値で管理されている
10 農薬は適正量が使われている

 その他、コラムで興味深いトピックスを紹介しており、最後には質問・取材に対応してくださる専門家のお名前が書いてあります。ぜひ、ご覧になっていただきたいと思います。


広く活用されて

 遺伝子組換え作物・食品編、食品添加物編は、くらしとバイオプラザ21の会員などのご協賛を得て増刷することができましたので、メディアの方だけでなく、高等学校や大学の教材、生協などの勉強会資料、研究所の見学会資料などと、広くご活用いただきました。ホームページからのダウンロードも続いています。
 食品をめぐる情報は、発信する人(研究開発関係、食品メーカーなど)、情報を加工する人(主にメディアの方)、情報を受け取る人(消費者、利用者)にとって重要なものなので、情報を出すとき、加工するとき、受け取るときにそれぞれのリテラシー(情報を理解して使いこなす能力)が必要であると考えました。そこで、2012年度に改訂した「遺伝子組換え作物・食品編」のタイトルは「知っておきたいこと」としました。


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それぞれの立場のためのリテラシー

 なお、この改訂版をテキストとした研修会を2月17日に開き、新しく加えた「New Plant Breeding Technique(NBT)」という新しい技術について、鎌田博先生(筑波大学)に解説していただきました。NBTは品種改良を行うときに世界中で使われている、いくつかの新しい技術のことで、その中には遺伝子組換え技術も含まれています。遺伝子を組換えた「痕跡が残らない」ために、不安だという声もありますが、実際には微小なDNA配列の変化であるために、突然変異で起こったものとの区別がつかないということです。そこで、どのように評価していくかという議論が始まっているというお話をうかがいました。
2013年2月17日研修会レポート


ご利用にあたって

 「知っておきたいこと〜遺伝子組換え作物・食品」と「メディアの方に知っていただきたいこと〜食品添加物」の冊子をご希望の方は、送り先を明記して140円切手2枚を同封のうえ、くらしとバイオプラザ21まで郵便で、お申し込みください。2冊以上お入用の時はご相談ください。
 
102-0025東京都中央区日本橋茅場町3-5-3鈴屋ビル8階
NPO法人 くらしとバイオプラザ21
Tel :03-5651-5810 Fax :03-3669-7810 E-mail :bio@life-bio.or.jp