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第3回医食同源バイオカフェ「コーヒーによるヘルスケア」

 2013年10月27日、神奈川工科大学ITエクステンションセンタービルで第3回医食同源バイオカフェを開きました。お話は東京薬科大学名誉教授 岡希太郎先生による「コーヒーによるヘルスケアー」でした。はじめに栗原バイオ学科長からお話と11月9・10日の幾徳祭(大学祭)のご案内がありました。岡先生の名調子にのせて、官能試験を交えた楽しいバイオカフェでした。

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栗原教授のウエルカムスピーチ 岡希太郎先生のお話

お話のおもな内容

はじめに
コーヒーはくちなしと同じアカネ科の植物。赤や黄色い実がなるのも、白い花が咲くのも同じ。元気で長生きの秘訣は、「病気になったらすぐ治す(薬をのむ)こと」と「病気にならないように気を配る(運動などもあるが一番大きいのは食べ物)こと」のふたつ。しかしどんなに注意しても病気は忍び寄る。
 
病気の原因
病気の原因には外因性(異物、病原菌、化学物質)と内因性(疲労、ストレス、加齢など)がある。外からのものには免疫反応が起こり、内からのものは酸化障害が起きる。その結果、炎症反応(腫れ、発赤、発熱、痛み)に至る。放置しておくと、組織や臓器に障害がおきて病気になり、亡くなることもある。
たとえば、外因性要因で免疫反応が起こっているときにくすりをもらう。炎症に進むと抗炎症薬(店で買えるくすりから、お医者さんで処方される治療薬まである)を用いる。
これに対して、原因から治す根治治療がある。その他に延命治療もある。
内因性の病気には、食物で酸化障害を抑制する対策がある。
コーヒーやワインに含まれるポリフェノールには、不飽和脂肪酸(魚の脂)、オリゴペプチド(鶏の胸肉)と同じように抗酸化作用がある。
トリのムネ肉やカジキマグロにはオリゴペプチドが多いが、脂が少なくおいしく料理するのは難しい。
酸化反応を抑えるのにお茶やコーヒーの成分には抗酸化作用がある。炎症反応までいってしまったらくすりしかないが、その前の段階ならば有効。
 
高齢化社会
高齢化社会で政府は在宅医療を進めようとしている。病気にならないで長生きするのがいい。そのためには薬のお世話になる前に、上手に食べて病気を防ぎましょう。しかし、1類のサプリですべての健康問題の解決は無理。
高齢者はBMIが23-24、コレステロールが220-240の間がいい。若い人のコレステロールは低い方がいいが、高齢者に若い人の健康数値をあてはめるには無理があると思う。
必須栄養素には、ビタミン20種類、ミネラル16種類、アミノ酸8種類、不飽和脂肪酸が6種類あり、これらがひとつでも欠けると病気になる。しかし、粗塩を料理に使えば、様々なミネラルが含まれているので、一度にこれらが摂取できる。必要な栄養素をすべてとるために、油、穀物、魚、野菜をまんべんなく食べるのがいい。
お茶やコーヒーには栄養素は入っていない。カフェイン、ポリフェノール(クロロゲン酸、カテキン)などの共通の成分もあれば、深炒り豆のニコチン酸、緑茶のビタミンは共通ではない。世界の疫学論文集をみると、コーヒーに関する論文は2,157編、お茶は約300編で、コーヒーへの関心が高いことがわかる。
 
コーヒーの成分
コーヒーは焙煎度で成分が異なる。生の白いコーヒー豆を加熱し始めると、オレンジ色になる。30分すると220度に達し燃えてしまう。途中、はじけるような音が加熱から15分、25分くらいのときに聞こえる。
カフェインの主成分には、ニコチン酸芳香がある。
コーヒー豆の中のグルコースは加熱すると、ギ酸と酢酸と5HMFができる。(香り)
ギ酸(蟻の毒)はピリッとした酸味。酢酸はお酢の味。食酢は5%の酢酸。
5HMFはカラメルの香り。
スターバックスはアメリカンコーヒーを苦くした。アジア人には苦いコーヒーは不人気で、今は「第3波」、すっぱいコーヒーも増えている。腐ったものを食べないために哺乳類は酸味を感じるようになっている。分子数の少ない酸はおいしく感じられて栄養になる。だから、食酢には咳こむほど刺激があるが、薄い酸は食欲をそそる。 
 
味覚体験
希望者はごく薄いギ酸、ごく薄いクロロゲン酸、深炒りしたコーヒーを薄めたもの、浅炒りしたコーヒーを薄めたものの味を比べました。焙煎を続けると酸味が変わることがわかりました。
 
コーヒーの効果
コーヒーをのむ習慣といろいろなガンのリスクのメタ解析結果によると、
肝臓がん、口腔咽頭がん、子宮体がん、前立腺がん、膀胱がん、食道扁平上皮がん、大腸がん、乳がん、胃がんでは、リスクが小さくなっている。リスクが生じてくるのは、食道腺がん、肺がん、咽頭がん。これらは相対リスクが1以上になる。
熱いもの、塩辛いものは、食道上部、胃がんになりやすくなるという人がいる。コーヒーのせいか、コーヒーが熱いための影響か、複雑な原因が考えられるので簡単には論じられない。ガン以外の病気のメタ解析結果をみると、飲み方に注意が必要なことがある。
しかし、1日コーヒー3-4杯まではいいが、それ以上では脳卒中を増やすというデータもある。日本人ではそんなに飲む人はいない。
 
岡希太郎さんのガンにならないための8カ条
・禁煙 
・アルコールは1日30グラム 
・塩辛いものは食べない
・熱いものをのみこない
・野菜と果物を多めに食べる
・ピロリ菌とウイルスは除菌する
・適度な運動
・1日1回はコーヒーを飲む
 
最後に
コーヒーは、クロロゲン酸(抗酸化物質)なども含むが、加熱するとヒドロキシヒドロキノン(HHQ)ができる。熱いものを飲まないために、コーヒーを濃く入れてうすめて麦茶のようにしてのんだり、コーヒー中のよくない成分を紙フィルターで除去したりする工夫もある。
今日、試飲していただくヘルシアコーヒー(花王の缶コーヒー)は活性炭で雑味と酸化物のHHQを除去してある。また、無酸素状態で焙煎するとHHQはできないはずでその研究をしている人もいる。
それでは、みなさん、健康に気をつけてお元気で!


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試飲用サンプルを配り、終わったらすぐに回収する 寺嶋さんの5分間スピーチ


5分間スピーチ「ホタテ貝殻粉末処理における米の低アレルゲン化」
          神奈川工科大学大学院 寺嶋霞さん

 「お米のアレルゲンには、アルブミンとグロブリンが考えられる。アレルゲンと低減化するために高圧酵素処理したアルファ米はおいしくなくて、値段が高い。
ホタテの貝殻粉末(食品添加物、水にとかすとアルカリ性)でホタテう貝殻文末処理をすると水で炊くよりも倍以上のタンパク質を引き出すことができる。
ホタテ貝殻粉末溶液に浸けておくと色は黄色っぽくなるのでだめだが、味と口当たりはあまり差がなかった。ホタテ貝殻粉末でアレルギーの緩和に役立てたいと思っている」


話し合い 
  • は参加者、→はスピーカーの発言

    • 養護教員だったときにクロロゲン酸は体によくないと聞いていたが、今はいいというので、すっぱいコーヒや深入りが好きで飲むようにしている→クロロゲン酸は浅炒り豆や生の豆を煮出すと得られる。さきほど、参加者の1割弱の人がおいしいといった。クロロゲン酸はサツマイモ、カボチャ、ナスにも含まれる。
    • カフェインはポリフェノールなのか→ポリフェノールではありません。お茶やコーヒーに含まれる。
    • コーヒー以外でポリフェノールがふくまれるものは→緑茶、チョコレート、野菜、果物など多数。


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    会場風景