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  • 総会講演会「機能性表示食品ビジネスの展望」

     2017年5月18日 くらしとバイオプラザ21第15回定期総会記念講演会が開かれました。お話は株式会社グローバルニュートリショングループ 武田猛代表取締役による「機能性表示食品のビジネス」でした。機能性表示食品制度がスタートして2年。届け出られた食品の特徴、機能性表示食品ビジネスの今後についてお話いただきました。


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    武田猛さん
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    会場風景

    主なお話の内容

    機能性表示食品届出の現状
     機能性表示食品制度ができて2年たち、届け出数は累計で900を超えた。そのうち店頭で売られているのは271品目で、月に50億円、年間では600億円も売られており通信販売の商品も加えると750-800億円のマーケットに成長した。
     届け出られたものはサプリメントが4割、加工食品が2割。849件は機能性関与成分に関する文献を根拠として届け出る「システマチック・レビュー(SR)」によっている。臨床試験によっているのは52件。このように短期間で多くの商品が届け出された理由の一つに、制度にSRを採用したことがあげられるだろう。
     種類は多様で、押しムギ、ストレートジュースなどの加工度の低い食品も含まれている。
     
     2016年の店頭での売り上げは、ヨーグルト41億円、トマトジュース11億円、サプリメントが9億円で、加工食品の方が多い。
     会社別では、ファイン、日本水産、東洋新薬、江崎グリコなど大手が1社で10件以上届け出ている一方、1社1品目の届け出も多い。
     機能性関与成分では、難消化性デキストリン、GABA、EPA・ DHA、大豆イソフラボンなどトクホとしてかつて申請、許可されたものや過去に挑戦したり、トクホ準備中の物が多い。過去の臨床試験結果を根拠としたものもある。以前は成分の説明を理解してもらっていったが、今は機能を表示できるので、消費者へのアピールがスピーディになった。
     ヘルスベネフィット順では、生活習慣病(9種類)予防が405件、整腸が115件など。ダブル機能表示もできるようになった。骨の健康、歯の健康、整腸、生活習慣病予防はトクホでも認められているヘルスベネフィットだが、これら以外のベネフィットはトクホでは許可されていない。一方で、トクホでは許可されているオーラルケアはまだでていない。空腹時血糖値改善、血中脂質酸化抑制はトクホではなく機能性表示食品にあり、機能性表示食品の方が幅広いベネフィットが認められてきている。店頭売り上げをみると、脂肪、整腸、脂肪と砂糖、コレステロール、目、血圧を対象としているものにかたよってきている。
     
     わが社でトクホと機能性表示食品を比較したところ、トクホの届け出は1991年から今までに1122件(174社)だが、機能性表示食品は2年間で897品目(259社)と企業数では2年でトクホをぬいてしまっている。
     店頭販売の売り上げが伸びた順は、目の健康が125億円、不眠でアミノ酸が2倍売れるようになって85億円。 
     睡眠、眠りという言葉をいれると 60-70代 男性利用者が6%から30%になった。筋肉強化 高齢者の筋肉維持も高齢者で拡大。男性(50-70代)では、頻尿・尿漏れ、女性では更年期障害が52%の増加。
     減少したヘルスベネフィットでは美肌・肌ケアがマイナス300億円、整腸・便秘の改善がサプリ分野でマイナス70億円となった。サプリより食品で摂取するようになったため。関節の健康もマイナス50億円。
     機能性関与成分で伸びているものはリコピン(機能性が表示できるようになった)が179% 、マカ(へビーユーザー増加)、クロレラ(通販で拡大)などがある。減少したのは、プロポリス、コラーゲンなどで、これらも加工食品で摂取するようになった。セラミド、イソフラボンも機能性表示食品制度が始まって利用が増加した成分。睡眠サポート、記憶力維持、筋肉維持、メンタルヘルス分野は機能性表示食品制度で活性化した。
     
    選ぶ理由
     銘柄を選ぶ理由の第一位からみてみると、「知っているメーカーが販売している」「低価格である」「効果への期待感」「摂りたい成分が含有されている」「国産である」「家族や知人の勧め」となっている。「トクホだから」という理由は29位、「機能性表示食品だから」という理由は33位と低く、国の制度とは関係がなさそうにみえる。トクホユーザーに対して選定理由を聞くと、「トクホだから選ぶ」は4位なのに、機能性表示食品ユーザーに選定理由を聞くと「機能性表示食品だから選ぶ」は17位と低い。これは、メーカーのイメージや信頼がいかに大事かを示している。
     
    これからの機能性食品(Foods with functional Claims FFC)に求められる要素
     科学的根拠と制度(レギュレーション)とマーケティングをトータルでみて魅力的な表示を開発していくことが重要。いかに豊かな日本語力で表現していくかが鍵になる。
     素材(原料のブランディングが重要)、機能性以外の価値(ストーリー性など)にも注力していく必要がある。
     商品開発において、シーズ発の場合:機能性関与成分の選定が第一。試験デザイン設計(エンドポイント設定が難しい)、被験者とアウトカムが大事。
    ヘルスベネフィット発の場合:ポテンシャルの高いベネフィットを選択することが大事で、そのためには有望素材・製品の探索が基本になる。
     商品設計では表示から逆算していくのがよい。
     
    消費者のベネフィット
     「QOL改善」関節痛の改善、目の健康、整腸、「見た目の向上(外見)」(美肌、痩身)、「不安解消」肝機能、「お守り的存在」など多様な理由がある。
    商品の設計:機能性表示食品の開発の際は、サイエンス、レギュレーション、マーケティングとの連携が重要。利点と作用機序をよく理解し、ストーリーを開発し、消費者目線で進め、メディアの関心を喚起する。
    プロモーション戦略:プロモーションメッセージを想定して設計する。
     
    届け出るときの考慮点
     チャレンジングな表示は受理されにくいので、受理されやすい表示にし、SR(システマチック・レビュー)付原料(原料会社が根拠をつけてくれる)を使う。臨床試験とSR(システマチック・レビュー)の質のバランス、費用と質をどうみるかも重要な視点。
     PICO(P:だれに対して(participants)、I:何をすると(intervention)、C:何と比べて(comparison)、O:どうなるか(outcome))が重視されることに注意が必要。
    健康維持増進をこえて、疾病予防が暗示されるような表示もだめ(過去に受理された内容、表示で現在は不可なものもある)。
    サイエンスの進化と、機能性表示の根拠になるような臨床試験や文献づくりは、別次元という状況になっている。
     
    機能性表示食品の限界
     機能性表示をすることで考えられるリスクもある。例えば、機能性表示をしても効果が実感できないと不満が生じ、その情報が拡散されることもある。表示をしたために、これまでは幅広い客層に受容されていた製品が、限定された人だけが買うようになり、顧客層が狭くなることもある。
     不適切な表示(明らかな疾病予防はだめ)にならないようにしなくてはならない。使用不可能な表現は、「疾病の治療効果、予防効果を暗示する表現」「健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標榜する表現」「科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現」となっており、消費者庁はしっかりとチェックしている。
     
    展望
     米国市場では、2004年から2016年にかけて、ダイエタリーサプリメントは2倍、機能性食品は2.4倍、ナチュラル・オーガニック食品は3.5倍の成長。 
     日本は、1990年代に「あるある大事典」などの健康情報番組が盛んに放映され、ココアや赤ワインがブームとなった。1991年トクホが始まった。2007年には「あるある大事典」が放映中止になったりして、業界に逆風が吹いていたが、2013年、アベノミクスで日本再興戦略として食品の機能性表示の容認が閣議決定され、再び注目されるようになった。今はスーパーフードブームで、素材そのものをサプリメントに入れるなどの傾向がある。例えば、ザクロジュース、チアシード(オメガ3、プロテイン)など、抽出物をとるのでなく、体にいい食材そのものを摂取することを好む傾向がでてきている。
     この傾向はアメリカから入ってきたトレンドで、ナチュラルヘルシー(素材の持つ有効性)を利用することが増えてきている。大手がやらないカテゴリーをベンチャーが創出するチャンスもでてくる。
     イギリスのNNB(New Nutrition business)マガジンでは、毎年10キートレンドを紹介している。食品・栄養・健康ビジネスの将来的な方向性を示すもので、成長ポテンシャルがある、次にくるトレンドを紹介している。  
     例えば、ウエイトウエルネスではいい食材を選んで体重を維持する。低脂肪タンパクの乳製品、スーパーフルーツなど。多くのトレンドはアメリカからタイムラグをもってやってくる。
     原料ブランディングによる差別化の時代が始まっており、独自のエビデンスをもった原料を使い、論文にも材料名としてブランド名が入っている。日本の論文ではブランド名を入れることは認められていないので、日本企業も差別化された原料を使った研究成果を論文にまとめて海外の雑誌に投稿し特許をとり、活躍してもらいたい。


    質疑応答

  • は参加者、 → はスピーカーの発言

    • 消費者庁の機能性表示食品制度と厚労省のトクホのこれからは? → トクホは国が審査し、高価格でも容認される。不祥事があれば需要は下がる。
    • これからは安全性評価の公開が求められるようになるかもしれない。先日、検査したら有効成分が含まれていなかったことがわかり問題になった。
    • 機能性表示食品と健康食品の違いがわからない → 機能性表示食品制度はまだ浸透していない。法整備がされているのは特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品で、正しく伝わると適切な利用が広がると期待。


     総会には理事・監事をはじめ多くの方がいらしてくださいました
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