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絵本「せいめいのおてがみ」完成記念講演会

 2月19日(木)絵本「せいめいのおてがみ」完成記念講演会を開きました。
 はじめに太田代表から、「若いおかあさんと子供達、幼稚園の先生にバイオテクノロジーにかかわる情報を伝えることが大切で、いかにして若いおかあさんにそのような情報を手渡すかがくらしとバイオの使命である」というお話がありました。原作者である中村典子さんからひとこと、(有)リバネスで遺伝子組換え実験をはじめとする出前授業を全国の小中学校を中心に行っている丸幸弘さんからご講演をいただきました。

中村典子さんのお話「著者からひとこと」〜絵本に託す思い〜

中学生のときの感動をひとりでも多くの子どもに伝えたい!

表紙をクリックすると全ページが見られます
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原作者挨拶
原作者挨拶

 中学生のときに陳腐な漫画の中で見つけた「DNA」ということばは、私に衝撃的な感動とときめきを残しました。その後、高等学校の生物の授業でやっと「DNA」に再会し、その巧みな働きを知って再び感動し、私は生物学の研究者を志しました。その後、研究者の末席に座ってまいりました十年余り、とても面白く、たくさんの感動をもらいました。このように夢中になれるものに出会えて私は幸せだったと思っています。
 絵本を作るにあたり、DNAに対して私が感じた感動や好奇心を子供達に伝えたいと思いました。理科離れ防止などのことは考えていません。絵本の手に取った子供たちのうち幾人かが、ちょっぴりでも感動するきっかけになってくれれば本望です。
 欠点の多い絵本ですが、先生方やご両親、お使いになる皆さんのお上手なフォローをお願い致します。そして未来に繋げて下さることを強く望みます。

丸幸弘さんのお話「研究者からのメッセージ」
〜いかにして生命科学をつたえるか?〜

自分について

 まず自分について知ってもらいたいと思います。私は大学院で根粒菌の研究をしています。趣味は旅と音楽で、新しい何かを作ったり発見したり、見たり聞いたりするのが好きなんです。その勢いで、大学院生だけで会社まで作ってしまいました。

日本と海外の考え方の違い

社長としてリバネスを率いる丸さん
社長としてリバネスを
率いる丸さん

 米国では、全米科学教育スタンダードというものがあり、幼稚園から4学年までに遺伝子の概念、5〜8学年までに発生や生態系、生命の仕組みを学びます。英国ではナショナルカリキュラムという公立学校の教育課程があり、11歳から遺伝や生態系に関する学習が取り入れられるなど、生命科学の教育が早期から始められています。
 それに比べて日本の理科教育では、中学の第一分野からイオン、第二分野から遺伝の規則性と生物の進化が削除され、高等学校の生物でDNAや遺伝子組換え技術を学ぶ生徒は全体の15%。多くの高校生がバイオ技術について学習しないまま卒業していることになります。理科離れが心配される一方、現実には教科書から生物の用語が消え、受験の邪魔だからと実験をやらない学校が増え、理科の苦手な生徒も増えています。当然のこととして自然の不思議を楽しむ生徒も減っていくでしょう。

生命科学を浸透させていくためには

 学校教育における生命科学の充実、自治体などによる幅広いPA活動、家庭でも学べるテキスト作り、インターネットでの正しい情報発信も大切です。

リバネスとはどんな会社?

 身近な不思議を興味に変える!を合言葉に理工系の大学院生だけで設立したバイオ教育、バイオ人材育成の会社で、会社理念は「科学技術の発展と地球貢献を実現する」ことです。
 研究者と市民の間の知識・認知度格差が開いていくので、これを近づけるために研究者が消費者の現場にいって、研究者自らこの役目を果たしたいと思います。
 研究者はダイレクトに、正しく、最新の情報を伝えられる知識量があると思いますが、一般的に研究者は消費者にうまく伝える話し方ができず、研究に忙しくて資料作りなどに時間をかけることができません。ですから、リバネスでこのうまく伝える話し方を研究者にトレーニングしています。そして、トレーニングを積んだたくさんの若手研究者の参加により、幅広い分野での情報を消費者に正しく伝え、知識・認知度格差の間を埋めていっています。若い研究者が説明することで子供たちもバイオを身近に感じてくれますし、教える立場の若手研究者にとっても、プレゼンテーション能力が向上し、自分の研究の意味や目的をまとめなおす機会を得ることができ、自分の専門分野を社会還元できることが実感できます。

具体的な活動

 幼稚園から小・中・高、社会人までを対象に約15種類ほどのDNA関連、たんぱく質関連の実験を、限られた時間の中でわかりやすく説明し、どれだけときめきがあるものにできるかを考え企画を作っています。また、講義がすんなり入るように実験の行うタイミングも考えています。科学全般への興味を引き出すようにしたいので、一方的に「教える」ことはせず研究者から「伝える」姿勢を示します。実験企画の面白い試みとして、体育館でのDNAのゲームを作りました。DNA、RNA、リボソーム担当の子供を決めてみんなで情報のやり取りをし、体育館を走り回るようなものです。
 一方、研究者に対しては、研究者に求められる各スキルをトレーニングしています。コミュニケーションスキルを実験助手を務めることで、プレゼンテーションスキルを講師を務めることで、マネージメントスキルをプロジェクトリーダーを務めることで養うことのできる約3ヶ月の人材育成コースを作り、このトレーニングを受けた研究者が実際にバイオを伝えているのです。
 このような活動をリバネスはいろいろな団体と連携してやっていきたいと思っており、「共生型ベンチャー企業」を目指しています。「せいめいのおてがみ」もさっそく活用したいので、2月25日公立小学校企画のDNA抽出実験の後に配ろうと思っています。


 絵本の完成記念講演会には協力会員を中心をした皆様がお集まり下さり、丸さんの元気な活動紹介、中村さんの熱いことばに耳を傾けました。分野の異なる参加者は懇親会でも遅くまで話がはずみ、新しい「お友達作り」もだいぶ進んだようでした。
 どうぞ、今後とも絵本「せいめいのおてがみ」をご活用いただき、かわいがってくださいますことをお願い申し上げます。

講演会にいらした皆さん
講演会にいらした皆さん






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