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第10回談話会が開かれました

8月20日(金)日本生協連合会 組合員活動部北村洋さんをスピーカーにお迎えし、14名の参加者を得て、標記談話会を開きました。

日本生協連合会

ゲストスピーカーの北村洋さん 興味深いお話で参加者は全員大満足!

北村さんのお話

1.生協の消費者政策の取り組みから

消費者保護基本法から消費者基本法へ
架空請求、おれおれ詐欺など消費者被害の急増、企業不祥事の続発の中で21世紀型消費者政策の検討が始まりました。
「21世紀型消費者政策のあり方について」の中では消費者の権利、団体訴権、公益通報者保護制度、コンプライアンス(法令遵守)、行政の推進体制がまとめられ、2004年改訂された消費者基本法では消費者は保護されるべきものから自立するものと位置づけられ、自立のための支援のあり方も検討されるようになりました。公益通報者(以前は内部告発者とよばれていた)保護制度はこの中に盛り込まれました。消費者団体訴訟制度は、来年の通常国会にかけられる予定になっています。

生協は消費者政策課題にどのように取り組んだか
組合員を対象としたワークショップ形式の学習会が開催され、消費者問題は誰にでも起こりうることを実感しながら、消費者基本法などの理解を深めていきました。

これからの取り組み
学習活動、消費者被害への対応、消費者問題に関わる人材育成とネットワークつくりが、今後の課題です。特に、消費者被害に関する情報提供を進めて消費者被害の未然防止に取り組むこと、消費者の利益の実現や消費者団体訴訟制度の担い手となっていくための地域のネットワークづくりは重要です。ネットワークづくりは、全国消費者団体連合がとりまとめた「消費者運動ビジョン」でも位置づけています。


2.生協の活動について

法的な位置づけ
生協法第1条では生協は「自発的な生活の協同の組織」と定義されています。製造、流通、販売などの事業活動の他に、くらしの中からの消費者の願いの実現を目指し消費者の立場から積極的に発言し世論形成に寄与します。

食品の安全への取り組み
「食」は生協の事業と活動の中心で、「食品衛生法改正運動」(1999-2002年)では要求型から提案型の運動を提案し、国会議員、県議会へ働きかけ、地方自治体の食品安全行政を強化する取り組みを行いました。

生協の組合員活動
組合員による商品活動、環境保全活動、福祉、助け合いの活動、平和と国際交流活動、くらしの見直し活動を行っています。


質疑応答とディスカッション

(→はスピーカーの発言)

消費者基本法との関係
○消費者基本法と生協との関係は?
→くらしの安全・安心をどのように考えるか。消費者被害はどんなに個人で注意しても避けられないので、生協としても取り組む。

○消費者基本計画はどのように進んでいるのか。
→まだ動きは出ていないが、団体訴訟権検討委員会は月1回ずつ開かれている。
(その後明らかになった内容では、内閣府は国民の意見も求めながら05年3月までに基本計画を取りまとめる予定としている)。

○消費者の権利を主張するときに、義務はどのようになるのか。
→国と地方団体、事業者の責務が定められている中で、消費者は「役割」という形になっている。

○生協は消費者基本法に沿うように活動していくという姿勢が評価できる
→たとえば、プライベートブランドを作ると、大手メーカーに製造を委託することになる。正しい意識を持って消費者が選んでいくことで、悪質な業者が市場から退場していくことになるとよいと思っている。

○メーカーでは、消費者基本法改訂によりコンプライアンスなど、様変わりが求められおり、自己反省と社会への責務の見直しにつながっていると思う。
→公益通報者保護について、生協ではヘルプラインづくりが始まっている。メーカーも同じであると思う。


生協への信頼は安全の積み重ね
○物流管理も行う所から買った方が安心できる。宅配は組合員に安心を配っていることになると思うが。
→安全を積み重ねて安心が確保されると思う。

○安全は科学で、安心は漠とした感情。生協には信用の歴史があると思うが。
→信用の歴史をつくるのは大変だが、崩れるのは簡単。

○モラリティというものは個人ほど高く、組織が大きくなるにつれて薄くなるもの。生協にはモラリティのチェック機関として機能してほしい。実際の社会では、株式会社のモラリティが一番高いのではないか
○薬はリスクで考え、食は安心と考えていると思うが。
→生協の中にもリスクの考え方が入ってきている。

○生協の初台店で働いているが、生協は安心だから、というお客さんが多い
→必要なときには不利な情報も開示してきたことが、現在の信用につながっている。例えば、生協では遺伝子組換え食品に対しては科学的知見を検討して早くから情報提供としていた。


これからの消費者
○21世紀の消費者とは?
→昔、悪質な事業があったが、今は消費者が団結して働きかける時代が来た。大きな消費者団体も岐路に来ている。要求するだけの運動は理解されない。要求の中で代替案の提案が必要。

○生協でよい食材を購入して自分を育ててくれた親の苦労がわかった。短大で牛、豚の世話、農作物の栽培をしていると、無農薬は大変に手間がかかり、作る立場としては割が合わないと思う、有機の米は1.5倍で売っている。海外の製品と競合するときに、日本の農家は本当に無農薬の安全志向の高級品を売っていくのだろうか。
実際には自分は量販店で安いものを買ってしまう。生産者は割りがあわない、消費者は安い、おいしい、安全の「いいところ取り」のすれ違いではないか。
→生協は外からどう見えているのか、思われているのかということがわかり、かえって刺激を受けた。みなさんのリクエストに答えられていると嬉しい。


個別配送と消費者の変容
○個別配送が増えると情報提供には手間がかかるのではないか。
→署名集め、理事選びなどもグループができているほうが効率的に進むが、共同購入が難しいライフスタイルや他人と関わりたくない人が増えると、組織化は難しくなるだろう。

○私は個配のサービスを受けている。仕事をしているので、好きな時間に自宅のインターネットで情報を得たいと思うが、そういう取り組みはないのか。
→インターネットを利用した活動への参加方法も検討中。


そのほか
○JA、生協には弱者への応援団のイメージがある。
安全の基準について、農薬に関わっていた経験から、安全情報を提供しても、基準が変わると安全情報の内容も変わってしまうことがある。

○転勤してきたので行く先々で子供にはよい食材を与えたくていろいろな生協に関わった経験がある。よいものを得たいときは義務を負う。牛や豚の一頭買いをするとほしくない部位も引き受けないといけない、地区委員を出したり、ひとりのための全体、全体のためのひとりを経験、農家との話し合いも経験した。情報が提供される中でどのように選択していくのか。バイオも情報提供があって、選択できる環境になるといいと思う。

○現場を見る活動をしているか。
→産直事業を行っているので現場とのつながりは昔から持っている。

○欧米には生協のような団体があるか。
→ 生協などの協同組合※は世界中にあり、ICA(国際協同組合同盟)が組織している協同組合人口は世界で7.6億人となっている。日本の生協は独自の発展をしてきており、無店舗事業(共同購入や個人配達)の比率が高いのが特徴で、世界的には特異な存在だ。競合の中で日本の生協が大きくなってきたのは、日本の生協は組織がしっかりできていたことと、生協には信用のイメージがあるからだと思う。

※ 協同組合:生産者の協同組合として農協や漁協や森林組合、消費者の組織として生活協同組合(生協)、助け合いの組織として共済生協などがある。





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