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個人遺伝情報保護の委員会が終わりました

12月15日(水)の三省合同委員会をもって、個人情報保護法の4月からの全面施行にむけて行われてきた検討が終了しました。文部科学省、厚生労働省、経済産業省の3省それぞれに設置された委員会で、単独または合同で行われた検討を通じ、倫理指針の見直しが行われると同時に、個別法をつくる必要かあるのかどうかの議論も行われました。また、長期にわたってしっかり議論しなくてはならない項目があることも指摘され、「医学研究などにおける個人情報の取り扱いのあり方等について(案)がまとめられました。
一委員として委員会に参加しながら、医学分野、法学分野、市民の立場の委員が6月から12月まで、個人遺伝情報が保護されることと個人遺伝情報を利用した医学研究が発展することのバランスについて何度も議論すると、互いの分野について知らず、理解にずれがあることがわかり、それが互いに認識する場面に居合わせることができました。私自身、規制にために医療の現場の現実で起こっている不都合のことや、日本人として知っているべき法律について不勉強であることを思い知らされました。けれど、専門的な立場の委員の方たちは、市民にとって「遺伝、DNA、遺伝子」を区別して理解することがいかに難しいかをご存じないことも知りました。今後、教育や普及活動によって個人遺伝情報への市民の理解が深まることを願っています。
くらしとバイオプラザ21は「読み書きそろばんバイオロジー」といって、バイオについて知っていた方が、より高いQOL(生活の質)を撰べるのではないかという視点から、バイオリテラシーの意味を唱えて参りました。今回の経験から、科学で示せる安全を安心(今回は個人遺伝情報が漏洩しない仕組みつくりなど)につなげるためには法律をよく理解し、活用することも重要であることも学びました。

「ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する倫理指針」の見直し

今まで議論にパブリックコメントを加味した指針がまとめられ、12月28日告示されました。個人情報保護に関する最終的な責任者を法人全体の長とし、そこで、個人情報保護のために適正な安全管理措置が行われる必要があることなどが見直されました。

「ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する倫理指針」パブリックコメント結果


「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」について

経済産業省個人遺伝情報保護小委員会で検討されていたガイドラインもパブリックコメントをもとにまとめられました。このガイドラインでは、5000件以下の試料や情報を扱う施設における個人遺伝情報の扱い方、医者が介在しない遺伝子診断結果の信頼性、太りやすい体質かどうかを遺伝子から診断するような体質検査を遺伝子を用いて調べる場合にどのような規制が必要か、どのような仕組みで管理すると個人遺伝情報漏洩や差別の防止ができるのかということなどが検討され、そのような配慮をするためのガイドラインが示されました。

「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」全文(pdf)


パブリックコメントの結果(pdf)


ヒトゲノム・遺伝子解析研究における個人情報の保護に関する規定の法制化について

指針というものには違反したときの罰則がないので、守られない可能性をなくすために法制化した方がいいという考えと、法制化によって研究の推進に悪影響を及ぼす恐れがあるとするなどの意見がありました。あわてて法律を作ると、個人遺伝情報保護に関する議論も広まらず、理解も深まらないので、一定期間後に調査・評価を行うなどのフォローアップを行い、その結果に基づいて、法制化を含めた措置を講じることになりました。また法制化については個別法ではなく、医学研究、医療分野、産業における利用など幅広く基本的な考え方を示す法律を検討すべきであるという意見もありました。


「医学研究などにおける個人遺伝情報の取り扱いのあり方などについて」

今回の検討が個人情報保護からの指針の見直しに重点がおかれていたために、研究の進展などを踏まえた考え方に基づく検討が不十分な状況がありました。
特に1)遺伝カウンセリングと2)ヒト細胞・遺伝子・組織バンクについての議論が今後の大きな課題として残りました。
1) 遺伝カウンセリング
 遺伝カウンセリングを誰が、どのように行うのか、そのような人材を養成する制度をどうやって作り運営するのか
2) ヒト細胞・遺伝子・組織バンク
 バンクの定義、バンクにおいて個人情報を保護する方法、バンクの永続性を確保するためのあり方


検討を終えて

最後に3省合同委員会から関係府庁に以下のお願いをしました 以下は「医学研究等における個人情報の取り扱いのあり方等について」の最後の文章です。
「個人情報保護が実施されるような指針の不断の見直しとともに、生命科学及び保健医療科学等に関する教育のより一層の充実や、研究に対する理解の浸透や差別のない社会の構築のための国民に対する普及啓発の重要性にも十分に留意して、研究の推進や個人情報保護の確保が一層図られるような所要の支援を講じるように要望するものであり、これにより人々が穏やかにこころ豊かに生活できる社会の実現につながることを期待するものである。」

URL:http://www.meti.go.jp/press/20041224007/20041224007.html

参考サイト
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
「医療機関等における個人情報の保護に係る当面の取組について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1224-11.html





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