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くらしとバイオプラザ21とは

市民フォーラム「ヒトゲノムって?」開かれる

4月18日から開催される第10回国際ヒトゲノム会議に先立ち、17日(日)、京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホールで市民フォーラム「ヒトゲノムって?」がHGM2005主催で開催され、NPO法人くらしとバイオプラザ21はその運営・企画を担当しました。

私たちは一昨年の「大学生が考える〜遺伝子組換え食品〜」に始まり、いかにして普通の市民の視点から、社会とバイオテクノロジーの関係をともに考え、対話する場を作るかという課題に取り組んで来ました。

今回は、お二人の講師のお話の後、3校から13名の高校生をパネリストに迎えてディスカッションを行い、更に会場の皆さまに「参加体験」を持っていただけるような新しい工夫をこらした企画にしました(この手法を、私たちは「パブリックフォーラム」と名づけました)。当日は関係者を含めた190名にとって、ヒトゲノム研究について考える「体験の場」となりました。
本フォーラムの詳細なレポート(アンケート集計結果を含む)は後日、ホームページ、ニュースレター(6月末発行予定)でお知らせする予定です。


新しい工夫1「クイズ」

会場入り口では先着65名に6問のDNAに関するクイズに回答していただき、その結果発表からフォーラムを開始しました。19名が全問正解で平均点は82点という好成績でした。

クイズと正解と正答率
  クイズ問題 正解 正答率
1 DNAは生きものである × 71%
2 ころんだときにできるアザは、子どもに遺伝することがある × 97%
3 遺伝子とゲノムは全く同じものである × 65%
4 遺伝子はDNAという化学物質でできている 66%
5 動物のDNAはピンク色で植物のDNAは緑色である × 92%
6 遺伝子組換えトマトには遺伝子が入っているが、 普通のトマトには遺伝子が入っていない × 98%

回答者数:   65名
全問正解: 19名
平均点: 82点


トーク1 「ヒトゲノムって」
    (独)理化学研究所ゲノム科学総合研究センター長 榊佳之氏

生物時計の遺伝子を例にとって、ヒトゲノムの働きをわかりやすく紹介。海外旅行での時差ぼけ対策にもヒトゲノム研究の成果が活かされるのだそうです。最後に榊先生のご専門のチンパンジーとヒトのゲノムを比較しながら、人間が話せることは二足歩行とも関係があり、生物学的に意味のあることがゲノム研究から示されると話されました。


トーク2 「社会の中のヒトゲノム研究」
    京都大学人文科学研究所/大学院生命科学研究科助教授 加藤和人氏

ヒトゲノム研究が進められる中で、世界の科学者はどのように考えてルールを作ってきたか、ユネスコ宣言を例に説明がありました。そして科学者と市民がコミュニケーションを持つと、市民の不安が減る、科学者が市民の気持ちを知ることができるなど、両者にとって意味があるというお話をいただきました。

榊先生と加藤先生


新しい工夫2「田の字分析法」

大阪教育大学附属高校平野校舎、大阪女学院高校、立命館高校から集まった13名の高校生パネリスト有志は、フォーラム開始前に「ヒトゲノム研究について、今よいと思うこと、今よくないと思うこと、今後期待したいこと、今後心配なこと」の4点について、田の字の用紙に記入。これを読み上げながら、3−40分話し合い、みんなの意見をまとめました。田の字分析法はイベントコンサルタントの岩崎博さんが考案された、皆の考えを自然に引き出しながら合意を形成していく方法で、今回もご指導いただきま した。

面白いことに、現在感じていることには知識や理解が不足して抽象的な不安が多いのに、将来に思い描くことには具体的なことが多い傾向がみられました。たとえば、デザイナーズチルドレンやIQや眼の色を生まれる前から決められるようなるのは嫌!とか、遺伝子治療でエイズが治せて楽しい人生が送れるとよいとか。

第2部でスクリーンに映し出されたパネリストみんなの考え


新しい工夫3「ピンクとブルーの紙を使って全員で意思表示」

榊先生、加藤先生のお話を聞き、田の字分析法による高校生の意見の紹介を聞いたところで、ヒトゲノム研究にゴー(進め)の人はブルーの紙、ちょっと立ち止まりましょうと思う人はストップ(止まれ)のピンクの紙を掲げました。ステージはピンクが3分の2、会場はブルーが3分の2でした。


全体討論

13名の高校生パネリスト、榊先生、加藤先生、コメンテーターの小出五郎先生(NHK解説委員)によるディスカッションは、個人遺伝情報が出るとヒトに血統書がつくようになるのではないか、研究への不安を立ち止まって考えてから研究再開してもいいのではないかというような慎重な論調で始まりました。小出先生から「私たちは科学技術を前に十字路に立っているようなもので、前後左右に進むことも立ち止まることもできる。だから話し合いが重要である」というお話があると、科学者と市民の壁は厚いので、このような対話の機会があるといい、科学者が何を考えているか市民に伝わると安心できるという意見も出てきました。会場からは「あまり実益に走らず、ゆったりと研究を進めてください」という研究者へのエールもありました。

会場ではブルーの紙を掲げた人が多かった  元気に発言するパネリスト 小出先生のコメント「私達は十字路にたっている」


ポスター発表会

大阪府立高津高校から「奈良公園における糞食性コガネムシ類の研究」、立命館高校から「屋久島の自然」「ヨーグルト中の乳酸菌は日がたつにつれて増えていく?」の3つの発表がありました。ポスターの前は大変な混みようでした。

この模様は京都新聞、毎日新聞、朝日新聞(京都・大阪版)でもとりあげられました。
京都新聞電子版


ポスター発表会会場
フォーラム開始前、学生ガイドによるキャンパス散歩。20数名が参加





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