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第2回バイオカフェ(銀座トリコロール)開催報告

7月31日(日)正午から銀座トリコロール本店で開催されました。スピーカーは東京大学大学院総合文化研究科助教授松田良一先生。先生は骨格筋の研究のかたわら熱心に高校生物の授業に提言を行っています。タイトルは「高校生物で何を伝えるか」でした。
最初に早稲田大学交響楽団の冬木さん、馬渡さんによるフルート演奏で始まりました。銀座トリコロール2階の落ち着いた明るい雰囲気とマッチした演奏で、おなじみのエルガーの「愛の挨拶」など親しみのある調べに参加者皆さんがうっとり聞き惚れていました。
今回は3組ものご夫婦が参加されたのが特徴で、お帰りにはギンブラを楽しまれたことでしょう。


松田先生(向かって右) フルートの演奏 会場風景


松田先生のお話の概要

1、 平成9年から高校教育では、理科4教科(物理、化学、生物、地学)のうち2教科を選択すればよいようになった。大学入試でも東大理系は2教科選択になっている。従って、将来医師になる理3ですら40%の学生が生物を学んでいない。
2、 大学に入ってから一般教養で生命科学の授業を行うようにしているが、その試験成績が如実に示している。生物で受験した理2の学生の点数を100とすると高校で生物を学んでいない学生は2割ほど低い80台である。
3、 平成3年から専門教育を学部へ行く以前から前倒し出来るようになった。医学部の場合に解剖の実習を前倒しで行っている。そうすると生物を知らない学生が貴重な献体に触ることになる。
4、 京都大学医学部は改善すべく3教科選択で入試を行う。そうすると高校は2教科で来ているので予備校で残り1教科を学ぶことになる。理系の基礎は生物より物理であると思う。東大の構内に新品に近い電気掃除機が捨ててあったが単にヒューズが切れているだけであった。物理を学んでいればこんなことはない。拾って直し使っている。高校2教科が問題。
5、 ゆとり教育と称して学習量を減らしている。これは世界共通なのか調べてみると日本だけである。九九を小学校で私は何回も覚えさせられた。今、九九はおぼつかない。インドでは2桁の九九をやっている。生物の教科書をその文字の印刷面積で比較すると日本が一番少なく10万平方センチでアメリカは何と55万である。ゆとり教育は教員数を減らすことは出来るが、イオンはスーパーの名前、進化はポケモンという認識になってしまう。
6、 世界の生物の教科書は日常の生活に係わることで学ぶようになっている。教材の中は人間だらけ。
「ヒューマンバイオロジー」である。例えばアメリカでは突然変異をがんと関連させ、喫煙により遺伝暗号に突然変異が起きて肺がんになることを示している。但し、喫煙はしてはいけませんと一言も言っていない。日本ではゾウリムシは出て来るが人間の生活がない。


質疑応答

1、 私の息子は高校3年で進路を決め医学部に進んだ。生物を選択していなかった。理科の教科選択がまだ進路が決まらないうちに行わなければならなかった。息子の場合は予備校で生物を学んだ。理科4教科の一般的なことを最初に学ばせるべきである。
2、 アメリカの教科書はサイエンスライターが生徒の興味を考えて書く。日本は専門家が時間数を考えて内容を決めて書く。生徒の興味があろうがなかろうが関係ない。少ない時間数で学ばせることが最優先となっている。
3、 私は経済学部で勉強していて、文系。しかし、経済は数学なしで説明することは大変に難しいことです。基礎になる教科の勉強をして大学へ進むことが出来るシステムが必要である。
4、 教育は国の基礎であって大変に大事である。高度成長期には国が音頭を取ってどんどん進めてきた。現在の教育について国のあり方を考えて文部科学省に任せるのでなく我々が言っていかなければならない。役人任せの体質を直す必要がある。
5、 学生時代に学ばなかったことを社会人になってから学べるように卒業後の教育が盛んになってきた。大学も経営的にも特徴を出す必要があり今後卒後教育の充実が期待される。国立より私立の大学は大変に厳しい経営環境にあり熱心である。

以上の他いろいろなご感想がありました。いろいろのお立場の方々が集まり、双方向の話し合いが出来ました。


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