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遺伝子組換えユーカリの隔離ほ場試験が始まりました

10月20日(木)筑波大学隔離ほ場に遺伝子組換えユーカリが植えつけられました。このユーカリは「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づき,文部科学大臣及び環境大臣によって隔離ほ場試験の実施が承認されたものです。植えつけられたのは3種類の遺伝子組換えユーカリと種からまいて育てられた通常のユーカリ、組織培養で育てられた通常のユーカリの5種類の苗。厳重な管理のもとで、5種類のテープで色分けされて栽培されています。遺伝子組み換えユーカリの方が、組織培養や温室で育てられた非組換えユーカリより生育ややや悪く見えるのは、植え付けたときの条件が異なるからだそうです。
農林水産省で環境影響の評価を受けた遺伝子組換え作物は46種(2005年5月)になりましたが、文部科学省発では初めてだということでも注目されています。
今回、ユーカリが栽培されている場所は、隔離ほ場といって有刺鉄線が設置されたフェンスに囲まれた区域の中の、開閉式の窓のある温室です。


隔離ほ場 温室のカギ
組換えていないユーカリの苗 遺伝子組換えユーカリ苗


なぜ、ユーカリなのか

地球温暖化は人類共通の課題になっている一方、乾燥化が進んだ多くの土地では塩類の集積が起こっています。そこで、耐乾性、耐塩性が強く、速く育つ樹木があれば、二酸化炭素の削減の効果も期待できます。ユーカリは乾燥に強く成長が速いので、遺伝子組換え技術によって耐塩性を与えることができれば、地球温暖化対策にとって有望な樹木になると考えられました。



実験・研究の経緯

2001年、一般的な土壌細菌からとったcodA遺伝子が、ユーカリに遺伝子組換え技術により導入されました。その後、実験質、閉鎖系温室で、対塩性が強くなっていることが確認されました。特定網室(外部と空気の出入りはあるが、昆虫の侵入を最小限にし、水が外にでないように設計された温室)では、成長の様子や二次代謝産物(生物が生きるためのエネルギーをつく出すときに産生する一次代謝産物以外の代謝産物)、土壌の微生物への影響などが調べられました。こうして2004年に安全性評価を完了しました。



今回の実験の目的、概要、安全性、期待されることなど

今回の実験の目的は1)野外での成長の状況を調査し、2)ほ場での耐塩性の評価法を確立すること。さらに3)遺伝子組換え樹木に対する評価についての経験を蓄積することです。
フェンスは施錠されており、監視カメラ、進入探知機も設置されています。登録された研究者しか隔離ほ場に入ることはできません。このように実験中の遺伝子組換え植物が勝手に外に持ち出されないように配慮されています。
ユーカリは本来、日本に交雑可能な近縁野生種がなく、開花まで数年かかるといわれています。本実験期間は2005年10月〜2009年であるため、開花するようになる前に実験は終了する予定。もしも花芽が出たときには切除し、花粉や種子が飛ばないようにするそうです。 乾燥地での栽培効率の高い樹木として利用される可能性が高く、紙や繊維の生産原料としても期待されています。



遺伝子組換えユーカリを囲むように、
非組換えユーカリが植えられている
温室の窓は開閉式になっている


これまでの流れ

8月7日(日)説明会開催
筑波大学第二学群H棟101講義室において、説明会が開かれ、般市民、研究者など47名が参加しました。
http://www.tsukuba.ac.jp/news/event/050807yu_kari.html

8月11日(木)筑波大学隔離ほ場現地調査実施
筑波大学遺伝子実験センター隔離ほ場などの調査が文部科学省、環境省の担当官によって行われました。模擬的環境試験ほ場において、フェンス、標識、監視カメラ、洗い場などの設備の確認、入室者の出入りの記録や鍵の管理などが確認されました。
参考文献:8月12日付け「筑波大学隔離ほ場現地調査結果概要について」

7月29日から8月29日 パブリックコメント募集
寄せられた3つの意見はどれも、学識経験者の判断を支持し、大臣の承認と実験の実施を求めるものでした。
http://www.env.go.jp/info/iken/result/h170829a.pdf

10月12日 大臣承認
10月20日 植え付け



参考サイト

遺伝子組換えユーカリ隔離ほ場試験の実施について
http://www.tsukuba.ac.jp/news/topnews/2005img/051020yukari.pdf

3種類の耐塩性ユーカリ「(codA, Eucalyputus camaldulensis Dehnh.)(12-5B)」、「(codA, Eucalyputus camaldulensis Dehnh.)(12-5C)」、「(codA, Eucalyputus camaldulensis Dehnh.)(20-C)」についての第1種使用規定申請書類
http://www.env.go.jp/info/iken/h170829a/a-3.pdf
http://www.env.go.jp/info/iken/h170829a/a-4.pdf
http://www.env.go.jp/info/iken/h170829a/a-5.pdf

遺伝子組換え生物等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に規定する第一種使用規定承認の申請に係る意見
http://www.env.go.jp/info/iken/h170829a/a-2.pdf

遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法と呼ばれる)
http://www.bch.biodic.go.jp/houreiList01.html


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