くらしとバイオプラザ21

くらしとバイオニュース

ホーム
What's New

くらしとバイオニュース

バイオイベント情報

やさしいバイオ

リンク集

バイオカフェ

くらしとバイオプラザ21とは


第16回茅場町バイオカフェ「花粉症のお話」レポート

3月10日(金)、茅場町サン茶房にて第16回バイオカフェを開きました。始まりの高橋節子さんのバイオリンの演奏はフィヨッコ、ブラームス、クライスラーの作品でした。スピーカーはNPO法人くらしとバイオプラザ21専務の真山武志さん。


高橋さんのバイオリン演奏 北里柴三郎先生は免疫の研究もしました


真山武志さんのお話

日本の花粉症患者
花粉症が日本で初めて報告されたのは1960年のブタクサの花粉症
今日の参加者17人で4人。国民の2割が花粉症といわれている。
突然、花粉症は襲ってくるので、今、かかっていない人もいつかかるかわからない。
年々、報告件数は増加中。花粉症の医療費は5000億円。
国立生育医療センター(旧小児医療センター)調べでは、2000年は20代中心で世代があがると数が少ないが、2050年には80代にも花粉症患者は広がってしまうだろう。
原因として、戦後、材木の必要性からスギの植林をしたが、1960年に、輸入制限緩和により、コストの安い外材を使うようになり、スギの手入れができなくなった。杉やヒノキは樹齢を経て花粉を多く出すようになっている。

花粉症カレンダー
原因になる花粉は1月ごろから、ハンノキ、スギ、ヒノキ、シラカンバ、イネ、ブタクサなどと続いて飛ぶ。

免疫の研究の歴史
北里柴三郎は細菌学者ではあるが、免疫の研究もした。日本は今でも免疫ではトップレベルの研究をしている。
北里は嫌気性菌である破傷風の培養に成功するなど細菌学者として優れていた上に、血清による治療の研究もした。ジフテリアの抗血清療法はベーリングと一緒に行った。ベーリングだけがノーベル賞を受賞。

漆職人の話
皮膚のアレルギーではヌルデ、ハゼ、ヤマウルシのウルシオールが原因のかぶれが有名。
輪島塗の丁稚奉公に入ると、漆の木のかけらをしゃぶらせて、漆にかぶれなくなってから仕事に関わらせていた。これはアレルギーの根本療法(抗体を作らせない)を経験則で行っていたことになる。

花粉症の原因になる植物
セイタカアワダチソウも秋に花粉症を起こす、2−3メートルにも成長する
現在わかっている花粉症には50種類くらいある。例)マツ、イラクサ、ツタウルシ。

アレルギー性鼻炎のメカニズム
スギ花粉は30−40ミクロンととても小さいので、体内に異物として入ってしまう
免疫に関係のある肥満細胞(マストセル)は体中にある
抗原(花粉、エビなどの食べ物)が入るとTh2というリンパ球が、Bリンパ球に提示する。
Bリンパ球が花粉を薄めるためのY字形の抗体を作る。
抗体は肥満細胞に付着。
再び花粉がくると肥満細胞に付着した抗体と架橋をつくり、脱顆粒する。その中にヒスタミンなどがあり、はなみず、くしゃみが出て、鼻づまりが起こるようになる。
症状をおさえるには、ヒスタミンのばらまきをおさえればよい。

免疫
アレルギーとは、体内に入った異物を対応する現象である免疫反応が激しく起こった状態。体液性免疫と細胞性免疫の2つがある。
1)細胞免疫:異物に対して特定の細胞が働く。
・マクロファージ(ねばねばした手をのばして異物を食べてしまう)
・セラチなどの細菌を食べる好中球
・NK細胞(natural killer cell) 正常な細胞かどうかを見極めて異常な細胞だけにくらいついて、毒を注入して殺す
2)体液性免疫:抗体を作って異物を薄める方法で、花粉症は抗体をつくるのでこちらである。

症状の重さ
内科医の花粉症診断ガイドラインでは、くしゃみ、はなみず、かなづまりを、回数などによって1プラスから5+の5段階分け、はなみず・はなづまりとくしゃみの両方で5+だと、最重症というように決める。

対策 
花粉症が飛ぶ前:
・花粉症飛散予報などの情報収集、花粉症の正確な判断、花粉症治療の障害になる合併症
・規則正しい生活、
・冬の乾燥した冷気からの保護
・洗濯物を外に干さない
・インフルエンザなどの感染にかからないようにする
花粉が飛んでから:
・メガネ、マスク、コート着用
・屋内に入る前に花粉をはらい落とす
・掃除機の本体を外に出して、掃除をする(本体の後ろから花粉が排気されてしまう)
花粉の時期が終わったら:
・鼻粘膜の症状を治療しておく
・体力の維持、増進に心が得る

治療法 
1)対症療法:ステロイドホルモンを投与して症状を和らげる療法がある。根本治療ではない。
2)根本治療:アレルギーには心理的影響、環境影響もあり、アレルギーの起こり方はわかってきているが、なぜ、あるものがその人のアレルギーの原因(アレルゲン)になるかはわかっていない。根本治療は漆職人のように、すこしずつアレルゲンにならすしかない。
アレルギーマーチといって子供のころ、アトピー皮膚炎、大人になると喘息というように、アレルギーの症状が成長とともにかわる。遺伝子組換え技術を使った花粉症緩和米は徐々に花粉症の原因になるものをすこしずつ与える根本治療のひとつ。研究では安全性審査をきちんとすることが大事。去年の田植えには、反対派が押し寄せたが、根本療法のひとつとして期待できる。

おいしいコーヒーの香り 壁には絵が並び
 
スピーカーの後ろの柱時計が時を告げる  


質疑応答
(・は参加者、→はスピーカーの発言)

・食べ物を食べても異物なのにすべてでアレルギーは起きていないのはなぜ→アレルギーの原因物質は人によって異なる。その理由はわかっていない。花粉に抗体ができても問題がないが、抗体が肥満細胞について架橋をつくると肥満細胞から脱顆粒をして花粉症の症状があらわれる。はじめの抗体は抗原をうるめるためにでて、マクロファージが食べてしまう。あまり花粉がそこにいっぱいくると架橋になる
アレルゲンは人によって違う。体液中に入りうるものは食べ物でなくてもアレルギーがおきる。
・若い人にアレルギーが多いようだが、年を取るとアレルギーが減るのはなぜ→食べ物は長い年月になれてきている。自己の組織を異物と認識する自己組織免疫もある。現在、老人の花粉症が比較的に少ないのは、その人の若い時代の花粉の飛ぶ量や環境の影響による
・花粉症の増加には今の食生活の影響もあるかもしれないと思う
・漆職人の話を聞くと、花粉症は年をとるとなおるはずなのに、アレルギーがなおらないのはなぜか→花粉が一年中飛んでいて、馴れていけば治るかもしれないが、花粉は季節ごとに飛ぶので、改めて花粉症が発症することになる。
・東京都で花粉症を出さない杉の研究をしているそうだ→アレルゲンをなくす方法
・アレルギーマーチにのると花粉症から卒業できるのではないか
・私は寒冷ジンマシン→花粉症→皮膚炎と突き進んでいるようだ
・私もアレルギーマーチを歩んでいるところです
・あわもりで花粉症に効くという話を聞いた。友達は効いているというが、自分はあわもりに頼らないで治したい→健康食品の体験談はその人に効いても、あなたにあうかどうかわからない。体験談はうそでないが。
・乳酸菌などがアレルギー体質にいいという食品は多いように思う→健康食品のヒトに対して検証されているかどうか。検証されているのは特定保健食品はマークがあって、これは外的妥当性があることになる
・ある商品が売れるときには仕掛け人がいると考えているといいのか→体験談にだまされずに情報を集めて判断が大事。健康食品はまずHPで調べてみる積極的な姿勢がいいのではないか
・花粉症は日本だけの病気?→その植物があるところで発症するはず
・外国の小説でブタクサのアレルギーが出てきたような気がする
・アレルギーの時期に沖縄や北海道に行って、症状をよくするという旅行がある
・事務所以外でも仕事ができれば、そういう選択肢もある→花粉症が中枢神経に作用する化学物質をだすことがあり、うつ病のような症状が出ることもある。患者にはつらい症状
・今年は楽ですね。去年は花粉の量が10倍だったそうです→免疫力の維持が大事。飲みすぎにも注意。一次会でやめて家に帰りましょう。
・遺伝子組換え米の実用化したら、花粉症のこどもに使いたい→今年度収穫したコメは試験用飼料として使っている。ステップバイステップでデータを出していくことになる。3年で出せるという研究者もいる。
・くらしとバイオプラザ21では18年度7月7日花粉症緩和米を含む農場見学のバスツアーを実施する予定。参加してください
・アレルギー緩和米で花粉症がよくなった人が他のアレルギーになることはないのか→抗原が特定されているので、ひとつずつつぶしていかないとアレルギーは完治はしない。花粉症緩和米ですべてのアレルギーを治すことはできないはず
・マスクの形は立体型がイイノカ、プリーツ型がいいのか→マスクは鼻の繊毛を保護する、湿度を保つので有効
・立体型は口への接触がないので楽。個人の好き嫌いによるでしょう 
・私は花粉症には関係ないが、両親が免疫をもっているような気がする→アレルギ^は遺伝の影響がある。
・はじめて花粉症になったときには何が起こったかわからなかった。→体液性免疫、細胞性免疫を高めていることが大事。普段のストレスが大きく影響する→あわびのアレルギーの人もいる。黒あわびのチリ産だとショックを起こすそうだ。
・黒アワビを食べるとだれでもショックをおこすのですか→そんなことはないが、缶詰で表示を見たほうがいい
・ワインがチリ産がおいしい
・規則正しい生活が大事。成長ホルモンはこどもに大事だと思ったのですが、成長ホルモンは大人にとっても体のリズムを整えるので大事だそうだ。夜更かしは大人もしない方がいいらしい→ホルモンはたくさんあってバランスのバランスを保つのが大事。女性では閉経におけるホルモンバランスが問題になるが、男性にも同じことがいえる。男性はナイーブです。ホルモン全体のバランスに気をつけて毎日を過ごしましょう。



copyright © 2006 Life Bio Plaza 21 all rights reserved.
アンケート投票 ご意見・お問い合せ