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サイエンスパートナーシッププログラム(SPP)について

 バイオ戦略大綱が発表されて一年。日本がバイオ立国として進んでいくために、人材育成や国民の理解浸透に力を入れることになりましたが、心配される理科離れ、理科指導要領の改訂などどうなっているのでしょうか。高校生が理科に興味を持つようにいくつかの文部科学省のプランが推し進められているので、これについて調べたり、取材したりしたので報告します。

 バイオ戦略大綱

科学技術・理科大好きプランとは?

 我が国は、科学技術の振興により、豊かな国民生活や社会経済の発展及び産業競争力の強化を実現する「科学技術創造立国」を目指していますが、青少年をはじめとする国民の「科学技術離れ」「理科離れ」が指摘されています。これに対処し、科学好き、理科好きな児童生徒を増やすため、文部科学省では、平成14年度より「科学技術・理科大好きプラン」を開始いたしました。
 この中には科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高等学校を定めて特別なカリキュラム開発や大学などのとの連携について研究するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)、大学などと教育現場が連携するサイエンスパートナーシッププログラム(SPP)があります。この他も先進的な科学技術・理科教育デジタル教材の開発、「産業技術史資料情報センター」の設置、科学技術・理科教育総合推進事業、環境教育推進グリーンプラン、理科教育等設備整備費補助があります。

スーパーサイエンスハイスクールとは

 科学技術・理科・数学教育を重点的に行う学校をスーパーサイエンスハイスクールとして指定し、理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発や大学や研究機関等との効果的な連携方策についての研究を実施。
 2002年には26校(国・公立23校、私立3校)、2003年には26校(国・公立25校、私立1校)が参加し。今年は継続を加えて52校が研究・開発を行っています。

 2002年度実施状況
 2003年度実施状況

サイエンスパートナーシッププログラムとは

 先進的な研究施設や実験装置等、科学技術・理科教育に活用できる様々なリソースを持つ大学、研究機関、企業等と学校現場が連携することにより、第一線の研究者・技術者による特別授業や研究機関等を利用した発展的な学習プログラムの開発、教員を対象とした最先端の科学技術に関する研修等を実施するプログラム。実施方法には以下の3つがあります。

1. 学校が大学、研究機関等の研究者、技術者を招いて、科学技術・理科、数学に関する観察、実験、実習等の学習を行う「研究者招へい講座」に対する支援。
2. 大学、研究機関等が学校と連携して、当該大学、研究機関等において、科学技術・理科、数学に関する観察、実験、実習等の学習を行う「教育連携講座」に対する支援。
3. 各都道府県教育委員会、指定都市教育委員会及び中核市教育委員会や大学、研究機関等において、教員を対象とした科学技術・理科、数学に関する研修を行う「教員研修」に対する支援。

 SPPの中の連携講座、招へい講座を実施した2校を取材しました。

連携講座

DNA抽出実験の説明を聞いているところ(新潟薬科大学にて)
DNA抽出実験の説明を聞いているところ
(新潟薬科大学にて)

 8月1日(金)、2日(土)新潟薬科大学応用生命科学部において新潟県立新津高等学校の生物を選択する3年生40名が「Shall We Watch DNA?」に参加しました。
 第1日は応用生命科学部長高木正道先生よりお話がありました。高校生のときに生物と無生物の違いを見極めたくて一番構造が単純な微生物の勉強を志したこと、生物は秩序を保ちながらエネルギーを少しずつ使っていくものであることがわかったこと。今は、研究で得られた知識を役立てるように、バイオテクノロジーのより広い利用に関心を持っていることを話してくださいました。初日にまず、ブロッコリーのDNAを抽出し、それから大腸菌にオワンクラゲの光るたんぱく質(GFP)のつくり方の情報を持った遺伝子を組み込み、翌日、それを確認しました。

 新潟薬科大学応用生命科学部

招へい講座

 8月6日(水)、7日(木)、8日(金)お茶の水女子大学理学部山本直樹教授(植物生理学)と同講座の学生の指導のもと森村学園高等部(指導上野英一教諭)、立教女学院高等学校(指導山岸悦子教諭)の希望者20名が「遺伝子の働きと組換えDNA実験」に参加しました。1日目は山本先生からDNAの意味や働きについてお話をうかがい、午後からは大学生や大学院学生の説明を聞きながら大腸菌にGFPを作る遺伝子を導入する実験を行いました。2日目には光る大腸菌の確認を行いました。


 ほとんどの生徒は光る大腸菌に驚いたり、白衣を着て大学の先生や学生と実験ができることにわくわくした気持ちを抱いたようです。バイオテクノロジーを将来の仕事につなげたいと思ったり、専攻はするつもりはないけれどこれをきっかけにバイオテクノロジーを身近にとらえられるようになった高校生もいるそうです。しかし、生物学を選択していない高校生や文系大学受験を控えた高校生が参加した場合などには、難しく、余り関心も持てなかったという感想もほんの一部あり、先生方は、対象とする学年・生徒、実施の時期などについて苦慮されています。
 また高等学校の現場の先生方には、部活動の指導、受験指導、このごろ心配されている生活指導など教科の指導の他にもしなくてはならないことが多くあります。SPPの参加を促す声がかりがあっても、申請書作成、場所の確保、打合せの実施、参加者の選択と募集など、かなりの作業が生じるため、教科担当、校長が両者一致して了解するケースは少ないのが現状のようです。予算を用意するだけでなく、実施しやすい環境づくりや仕組みづくりの検討も必要ではないでしょうか。これが一時的な興味の高まりで終わらず、DNAや遺伝子組換え実験について各家庭でも話し合う機会が増えるなど、将来に続くものであるといいと思います。








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