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立命館高校で「生命」の授業が終了しました

緊張感がみなぎる会場
緊張感がみなぎる会場

 立命館高校では平成15年度、学校設定科目として「生命」の授業を高校2年生全員に対して行い、その授業のまとめとして3月16日、プレゼンテーションコンテストファイナルが開かれました。くらしとバイオプラザ21主任研究員佐々義子は外部審査員としてこの機会に参加させていただきましたので、報告します。

 92チーム中ファイナルに残った8チームのプレゼンテーションが行われました。アニメーションなどを駆使した12分のパワーポイント、時にはバックミュージックも用いて、会場との質疑応答も含めて聴衆をひきつけ続け、最後にはグループとしての提言を述べます。8グループの発表の概要は次の通りです。

1.神経メカニズムと摂食障害

 級友のアンケート調査からやせたい願望は強い傾向だが、摂食障害に苦しむ人も多い。日本の歴史における女性美観の変遷を追い、摂食障害と闘う女性にヒヤリングを行い、「自分は自分、自身で美の基準を定めることが大切」を主張できる人になろう!

2.水質調査 〜淀川推計の水質調査〜

 汚染物質を調査した上で、桂川、鴨川など淀川水系の水質検査結果と付近の土壌の性質検査を行い、川沿いの畑が河川のリン酸値の高さと関係がありそうなことがわかった。「水・エネルギー多消費型社会の中で水を大切にする社会、水と意識の循環」を目指す!

3.咀嚼について 〜ハンバーガーショップのかむかむウォッチング〜

 顎関節症患者数が1990年頃から増加したことと柔らかい食品嗜好は関係があるという仮説のもと、よくかむことは健康によいという知見をもとに級友へのアンケートやハンバーガーを食べるときにかむ回数の店頭調査を実施。かむ回数の多かった昔ながらの日本食を見直し、1食900回かんで食事を楽しむゆとりを!

4.催眠療法

 怪しいイメージのある催眠療法について調査してみると催眠療法は脳の働きをうまく利用していること、心や精神に関わる病気の治療に効果があることがわかった。科学的に納得した上で、科学的根拠のある治療法としての催眠療法を有効に利用していこう!

5.ミトコンドリアDNA 〜母は強し〜
ミトコンドリアDNAが教えてくれる「平和」
ミトコンドリアDNAが
教えてくれる「平和」

 母性遺伝するミトコンドリアDNAを調べると日本人には9人の母がいたことがわかり、さらに現代人の祖先をたどっていくと約17万年前のアフリカの女性「ミトコンドリア・イブ」に行き当たる。世界人類は共通のDNAでつながっている家族なのだから世界平和も可能になる!

6.日本人の起源 〜我が祖先のあしどりを追え〜

 日本人の起源には転換説、置換説、混血説がある。HLA型(白血球型)やGm型(血清型)の血液検査をもとに我々の起源を探った。起源はバイカル湖付近で、後に東南アジアの人々と混血が進んだ中国、朝鮮人が渡来系となって日本本州に移住し、先住していた日本人との混血が起こり日本人の基盤が形成された!

7.宇宙 〜宇宙医学と地球への応用〜

 宇宙開発において宇宙医学は必要不可欠。宇宙空間は無重力なので、骨が弱くなること、免疫力が低下することが知られている。超重力にすると免疫力が上がるのではないかという仮説をもとにした研究や、宇宙で長期間家族や友人と隔離されたときのストレスへの対策の研究も進められている。宇宙医学は地球医学に利益をもたらす可能性がある!

8.目と錯視 〜なんでやねん!!錯視〜

会場参加者も一緒に錯視の実験
会場参加者も一緒に
錯視の実験

 目は常に変化しないものに対しては見えにくくなる。そのために、網膜上の像の鮮明化のために眼球には常に固視微動という運動がある。色の恒常性、大きさの恒常性により距離感などを知り、安全を確保する仕組みもある。形や大きさが実物と違って見える錯視は人類の生存に必要な機能であるが、すべてが実物通りに見えている訳ではない。


スーパーサイエンスプログラム

 立命館高校は1学年8クラス(350名)の全校1050人の男女共学進学校です。推薦制度によりほぼ全員が立命館大学に進学できるため、そのゆとりを生かしてクラブ・生徒会活動が盛んです。
 同校では1998年度から始まった新カリキュラム作りの議論の中で、科学的なものの見方や数学的な解析力がすべての学習の基礎となるような教育作りができないかと考え、学習指導要領の改訂にあわせて中高大連携から大学院進学までを見通したカリキュラム改革を実施しました。なお、同校は文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として平成14年度に指定されています。
 第一の特徴は2002年からスーパーサイエンス・プログラムを実施したことです。このプログラムは高校2年生が立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)に通い、環境工学など4つの先端科学研究入門コースで学びます。
 第二の特徴は学校設定科目「生命」を開発し、これを高校2年生に必修で学ばせていることです。
 第三の特徴は「生命」の学習のまとめとして、生徒の自主性に任せて数人のグループを作りテーマを決め、プレゼンテーションを行うことです。プレゼンテーション実施によって1年間のまとめとするやり方はすでに選択科目の生物で2年間にわたって行われてきました。

 2001年度プレゼンテーションコンテスト

 「組換えDNA実験」も、「生命」も授業では事前学習と事後学習としっかり関連づけた上での全員で実施されています。


どの発表もすばらしく、審査委員は四苦八苦
どの発表もすばらしく、
審査委員は四苦八苦

 担当の久保田一暁先生のお話によると、生徒たちのアンケートからプレゼンテーションを行うと自主的に学習するようになり、生徒の満足度も高いので、今回の生命学でもプレゼンテーションコンテストの手法が採用されたそうです。参加する生徒がプレゼンテーションを楽しむようになってきたのは今回の全員参加からの特徴。
 プレゼンテーションコンクールファイナル終了時の久保田先生からのことばは、「今後は自分達が進む分野で独創的な新発見や新発明を目指し、そのプレゼンテーションをぜひ英語で!」でした。本当に前向きな先生と前向きな生徒たち。8つのプレゼンテーションはどれも一刻も飽きさせずに人をひきつけるもので、テーマの選び方、情報の集め方、クラスのアンケートなど身近な事柄とのリンクなど、まったく「お見事!」の一言につきるものでした。今後は生命倫理への取り組みをさらに強化されるそうです。生命学第一期生の今後が楽しみです。







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